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猫好きには外せない映画~『先生と迷い猫』~

猫好きには外せない映画~『先生と迷い猫』~_a0158124_1984951.jpg久しぶりによい映画を見た。
よいといっても私の価値観でだが、今の気持ちにいちばん寄り添ってくれる映画だった。毎日、見ようと思えばいつまでだって映画もドラマも見ていられるような悠長な生活である。でも、なかなか気持ちにぴったりの映画に出会えなかった。サスペンスものも重苦しい人間ドラマも見飽きた。ラブロマンスや家族の感動話もうすっぺらくて気乗りがしない。
昔は映画も本も音楽もみな、どこかで教養だとかその人の趣味やセンスの善し悪しにかかわってくる大切なことのような気がしていた。50を過ぎて、単なる人生の暇つぶしなのだとようやくわかった。どんな音楽も美術も映画も写真もドラマも本もすべて芸術はその人の好みでしかなく、知っていることをことさらに威張ることでも知らないことを赤面して恥じることでもなく、すべては単なる好み、暇つぶしでしかない。そう考えるとこんなふうにブログに書いて人にすすめること、いやこのブログそのものも意味をなさないように感じてしまうが、ま、深く考えずに備忘録でもいいか。
タイトルは『先生と迷い猫』という。
イッセイ尾形が定年退職した堅物の校長先生の役で出る。猫好きの奥さんはもたいまさこ。既に亡くなっている。もともとの性分なのか奥さんが亡くなってからなのか、やけに偏屈で町の人々とも付き合わず、当然人々からも好かれていない。そんなひとり暮らしの家へ奥さんが生きていた頃から通ってくるミイという野良猫が勝手に出入りする。先生の留守中に家に入って、奥さんの仏壇の前に寝そべっていたりする。そんなミイを先生は毛嫌いして追い払う。ミイが来ると死んだ奥さんのことをいやがおうでも思い出すからだ。ミイは野良猫なので先生の家だけでなく、近所の美容院や駄菓子屋や飲み屋、港、バス停のベンチの下などあらゆるところに出没しては人々から餌をもらい、名前をもらい、愛情をもらっている。ところがそのミイが急にいなくなってしまう。ちょうどその頃、町の新聞には猫が殺されたという物騒な記事が載ったりして、ミイを知る町の人々も、偏屈ジジイの先生もついには心配になって…というお話。
町に住む野良猫たちの、のほほんとした自然で愛らしい映像が満載で猫好きにはたまらないが、一匹の猫に翻弄されるイッセイ尾形の不器用な偏屈先生ぶりも猫以上にチャーミングだ。ただ、可愛いばかりの映画ではなく、野良猫に餌をやっているだけの人間の無責任さや保健所に保護されている捨て猫の多さについても触れていてピリリとくる。とはいえ、やっぱり見ているこちらはほっこりして目尻が下がってしまう。猫が自由に散歩する伸びやかな世界、野良猫の住む町や人の暮らしの空気の穏やかさみたいなものに、ホッとひと息つけるのだ。ついでに言えば、先生の住む家(小さな庭のある、実に昭和らしい古い家屋)の佇まいが素敵。コーヒーとクロワッサンの食事とか出版社に頼まれてもいないロシア文学の翻訳をコツコツやっているとか、古いカメラが趣味というところも先生のキャラのいい味だ。そうだ、久世さんのドラマ「センセイの鞄」に出てくる柄本明の国語の先生もよかったが、イッセイ尾形の校長先生もユニークで負けてない。それから映画「かもめ食堂」とかのゆるい雰囲気が好きな人なら楽しめると思う。たぶん、何度でも見てしまうと思う。
# by zuzumiya | 2016-04-22 19:09 | わたしのお気に入り | Comments(0)

男に好かれるための名言集

男に好かれるための名言集_a0158124_22563872.jpg実は最近、母との約束の通り、娘の店を時々手伝っている。といっても合計で4日ばかりなんだが、つくづく水商売って嫌だな、というか、正直「難しい!」と思い始めている。そんな折り、たまたまつけたテレビでドラマ『私結婚できないんじゃなくて、しないんです(金曜夜10時TBS)』を見た。これが結構、面白かった。ストーリーはハリウッド映画でも似たようなのがあった気がするが、仕事で成功した金持ち独身アラフォー女が恋愛マスター的な男性に指南をうけながら、恋愛できる体質になっていく話で、たぶん、おそらくはその恋愛マスターと最後は結ばれるんじゃないかな、と思われる話。単純だけど、こういうドラマはセリフというか恋愛に関する“目からウロコ的な名言”でどこまで視聴者を引っ張れるかなんだろう。
面白いと思うのは、ちょっと前までは「結婚できない男」というドラマがあって、世の中は男の方から女に媚びうる感じで「どうしたら男はモテるか、結婚できるか」で動いていたはずなのに、こんなドラマが作られたということは今や「いやいや上から目線で値踏みする女が悪いんだよ、結婚してもらいたきゃ、女も変われよ」にひっくり返ってきたのかな、と思えたからだ。ま、主人公が土壇場のアラフォー設定だが、恋愛弱者はどの世代にもいて、名言でそれなりに話題になればドラマを見る層は広く若者にも行き渡るだろうから、世の中の恋愛市場の流れは男上位に変わりつつあるかもしれない。
で、面白かったのはドラマで言われていた“男に好かれるための名言”の数々がすべからく水商売の女たちが普通にやっていることだったこと。特にツッコミ!それから、ときに話の腰を折っても引っ張る強引さ(“シャラップなんたら”とドラマでは言っていたが)。ボケとツッコミを客とホステスの間柄でやって、こなれていくとテンポのいい夫婦漫才のノリに笑いながら導いていく話術。しかも、空いているグラス、灰皿の灰、タバコの火、トイレから帰った時のおしぼりの熱さ加減まで気を配りながら自然体でやってのけるのが彼女らだ。ドラマの中で「ブスは許すが退屈でつまらない女は許さない」と強烈なセリフがあったが、水商売を4日やってつくづく「難しい」と感じているのはそういう相手を飽きさせない話術と相手にそれと気づかせない気配りとのもてなしがもうほんとに大変だからなのだ。飲みに行くなら、時にはホステスさんのいるようなスナックあたりにも行ってみるといい。なんだか、最近自分が感じていたこととドラマの内容があまりにマッチングしていたのでたぶんこれからも続きを見ることになりそうだ。来週は“仮氏”という言葉がキーワードとして出る。面白い。
# by zuzumiya | 2016-04-16 22:57 | わたしのお気に入り | Comments(0)

モッコウバラ、おそるべし

モッコウバラ、おそるべし_a0158124_1013632.jpg春は白い花から始まる。雪柳、こでまり、木蓮。梅や桃や桜が風景に赤みを添えて、それからまばゆい黄色がやってくる。レンギョウ、山吹、ミモザ。そして、モッコウバラ。花屋に行くと様々な色の鉢花の中からちょこんと黄色い小花を揺らしてモッコウバラが顔を出している。「可愛いなぁ、この黄色」なんて言いながらひょいとカゴにいれる客も多いだろう。その気持ちはわかる。花のことをよく知らなければ可愛らしい外見で買うのは当たり前だ。
自転車で住宅街を走る。垣根に一輪のモッコウバラを見つける。目が合うという感じだ。「ああ、お気の毒」とため息が出る。「ここの家の人は知っているのだろうか」と心配する。「いやいや、知っていて楽しみにしているのかもしれない」と考え直す。
でも…。私は知っている。モッコウバラに占拠されるがままにやられたダメダメな家を。モッコウバラの繁殖力は、想像以上にすごい。垣根に這わせて「きれいねぇ」なんて言っているうちはその恐ろしさに気づかない。通りすがる人々も「きれいに咲いたな」「上手に這わせているわね」と感心して見ている。だが、そのうちその「きれい」が「おっと、すごいね」になって、「うおー」になって「ちょっとやりすぎじゃない?」になって、ついには「ねえねえ、このお宅、どこから入るの?」になっていく。とにかく物に覆いかぶさって、物を飲み込んでいくような勢いで咲いていくのがモッコウバラなのだ。
住宅の垣根から前にある公共のポストに伸びていき、赤いポストが黄色いポストに変わってしまったのを見たことがある。住宅の横壁一面をじわじわと黄色く塗り替えてしまったのを見たことがある。庭から門柱へ伸び、表札を隠してしまった家を見たことがある。二階のベランダから下まで覆い尽くされ、玄関を隠してしまった家を見たことがある。からみつけるものはすべてからんで覆い尽くし、黄色い花と緑の葉のジャングルにしてしまう。残念ながら上手に美しい見栄えで、すなわち適度の範囲で、モッコウバラを育てている家を見たことがない。みんないいように繁茂され、支配されていく。
子供でもペットでもそうだが、太らせてしまうのは育てる側に問題がある。植物も同じで、どうしても育てる側は育つことに喜んでしまい、いい気になって肥料をやり、なすがままにそれこそ自然に任せてどんどん育てと願ってしまうものかもしれないが、過ぎたるは及ばざるがごとし。傍から見たら、子供もペットも植物も可愛いとか素敵とか正直思えない。この時期、住宅街でチラホラと見かけるモッコウバラ。「可愛い顔で人を騙し庭に入り込み、やりたい放題に伸びていき、侵略の野望を遂げていくいけすかないヤツ」と私だけはそう思って見ている。
# by zuzumiya | 2016-04-15 10:13 | 日々のいろいろ | Comments(0)

どうにも寒いじゃないか。

春なのに寒いと思う。
天気がいいと外へ出るので小金を使う。
昨日は髪を切りパーマをかけた。バクマンに出てくる染谷将太のような髪型だ。それから服を買った。仕事のストレスで食べ過ぎ太ってしまったため、ついに長年履いてきたスキニーを諦め、ボーイフレンド系のデニムに切り替えた。若い店員に太めですと出されたものを履いてみると、さほどゆとりのないことがわかりショックであった。店員がリンネルを愛読してそうな雑貨と服を扱っている小洒落た店で、楽ですよと勧められサルエルパンツも紺とベージュと大人買いした。それに合わせてスモックのような可愛らしいブラウスも買った。
デニムには洗いざらしの白シャツやあんまり選ばないストライプのシャツも買った。紺のベスト、グレーのロングカーディガンも白衣のような白いコートもあるので春はこれでバッチリかと思われた。
が、寒い!毎日、1階でストーブを焚きながら映画を見ている。曇りがちで陽射しがない分、冷え冷えとする。春服の出番はない。
ところで、この時期になるとよくあるコーデでデニムの裾を折ってくるぶしを出すのがあるが、あれは4、50代には冷えるのではないだろうかと思い始めている。大人のおしゃれで検索して画像を見てもカジュアル系ではみな、ズボンの裾をくるっと折って履いている場合が多い。ま、その方がバランスがいいというか活動的で若く見えるのは確かだが、やってみると実際は足元からすうっと冷える。おしゃれのためなら多少の寒さなんてと言えるのは20代までだろう。ボーイフレンド系デニムの出たての頃はその名の通り、彼氏のデニムを借りて履いてる風でわざとブカブカに長めの裾でルーズに履いたものだが、アメリカのセレブからかパンプスを合わせるコーデが入ってきて女性らしく裾を折ってくるぶしを見せるコーデになった。でも、それは若い子の話。オバサンたちはひと昔まえのコーデの方が断然、冷え対策にはよい。野暮ったく見られようが、今の私はこの陽気ではまだまだデニムの裾を折れない。アメリカの映画に出てくるバーの気の強いヤンキーなおばさんのように、はだけたネルシャツにTシャツに色落ちしたデニムのノリで履くしかないと思っている。ほんと、ひと昔前だ(笑)。
# by zuzumiya | 2016-04-13 11:02 | 日々のいろいろ | Comments(0)

他人の庭

考えてみれば、去年の梅雨時に此処へ引っ越してきた時はすでに花は終わっていたんだろう。
夏が終わり秋になって部屋の中も落ち着いた頃、急に庭に目が行って、ひょろひょろと伸びていた木の枝が煩わしく、しかも、枝に薔薇のような棘があるのも嫌らしく、ホームセンターで買ってきた植木ばさみで無闇矢鱈に切っていった。馬鹿にはさみは持たせるなと言うが、大きなはさみで切ること自体が子どものように楽しくて、何でもいいから切らずにおられないといった昂ぶりだった。マンション暮しが長かったし、もともと庭木のような植物に詳しくないのでよく考えることもなく、目障りなだけで切ってしまった。
他人の作った庭である。庭の真ん中に陣どった育ちすぎた紫陽花が邪魔だと土を掘れば、周辺の土からウコンか生姜にウジャウジャ根が生えたような宇宙生物のような形の球根がゴロゴロ出てきた。気持ちが悪いとそれらも全部掘り起こして捨ててしまった。紫陽花は根が深く四方八方に頑丈に伸びていて、人間の方が根負けしてしまい、そこまでして此処にいたいのならとそのままにした。冬になり、食堂の出窓の前に植わっている木が赤い花をつけたので、見当どおり椿だと分かった。ただ、その脇に植わっている木が金木犀のような気がするが秋に花をつけなかったため、未だ何者なのかわからないでいる。そして分からないなら仕方ないので長年の夢の金木犀を自分で買ってきて植えた。春になった。秋の頃に落ち葉がひどいわ、枝に棘があるわ、ひょろひょろと枝が伸びててきれいじゃないわで無闇矢鱈に切ってしまったその枝に小さな白い花が咲いた。人間とは身勝手なもので、花が咲くと「なんだ、花が咲くんじゃん」と急に愛おしくなった。花が咲くなら切らずにいたものをと思った。庭をよく見ると、先日植えた雪柳の隣の隣に雪柳らしい枝ぶりの木が植わっている。まさかと思ったが数日後、白い細かな花が咲いているのを見た時にはがーんときた。そして今日、あの棘のある白い花の木の並びに植わっている、これもまた秋の頃には枯れ葉がすごくて面倒だとザクザク切られていた木が、小さな白い蕾をふくらませ始めているのを見て、なんともしかしたら小手毬ではないかと思った。この小手毬もホームセンターに行く度に買いたいなと思っていたものである。考えてみれば、この庭の前の持ち主は千両は植えているわ、椿に紫陽花に、もしかしたら金木犀、それから雪柳、小手毬と結構、風流人だったのではないかと焦る。
今となっては、あの掘り起こしてしまった宇宙生物みたいなウジャウジャ球根はどんな花を咲かせたのだろうかと思う。
# by zuzumiya | 2016-04-08 17:42 | 日々のいろいろ | Comments(0)


ふだんの暮らしに息づいているたいせつなもの、見つめてみませんか?


by zuzumiya

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