カテゴリ:わたしのお気に入り( 217 )

ラフマニノフのヴォカリーズ

小説の中で出てくる音楽は気になると聞いてみることにしている。
今更なんだが(買ってあっても中途で挫折していた。同じ内容を江國香織か井上荒野が書いていたらつまづかずすんなり読めたと思う。白石一文あたりでも行けた。つまりは文体なのかしら)「マチネの終わりに」を読み始めて、〝アンナ・モッフォが歌うラフマニノフのヴォカリーズ〟にピンと来て、早速、YouTubeで聞いてみた。うん、歌詞のない澄んだソプラノは確かにいい。心揺さぶられる。AmazonでCDを探し当て、何度か視聴する。そのうち、な、なんと飽きてしまった。なんというか、悲しく寂しく辛くあまりにもドラマティックに情が溢れ、垂れ流される感じがした。美しいは美しいんだが、さほど悲しくないのになんとか涙をこさえようと躍起に張り上げている声のように聞こえてきてしまった。これならピアノだけがいい。そう思ってヴォカリーズのピアノバージョンだけのCDを探し出して購入した。「ラフマニノフのピアノ作品集」。私にとって音楽は、音楽でなく私が主人公でなければならない。私が欲する以上に勝手に響いて勝手に誘導しようとしてもらっては困る。あくまで脇役としての抑制の効いた節度が欲しい。静かなピアノ。悲しみであっても、ひそかに底深く静かに湛えている。その時々で解釈の、感情の、思考の、見えてくる世界の、揺らぎや広がりを受け止めるゆとりのあるものであってほしい。すべては私の自由のために。
午前中の春を思わせる陽光で、ついにダイニングのラグを替えた。黄色と白とブルーグレーの縞模様。ホワイトオークの丸テーブルによく映えて、部屋全体がグッとフレッシュになって明るさを増した。気をよくしてフレンステッドの黄色のモビール(フローイング・リズム)を購入した。これで大ぶりのガラスの花瓶に蝋梅でも生けてあれば最高だ。玄関には鬼とお多福のお面と豆を入れた枡を飾って節分の設えをした。でもまだ雪が降るんだろうなぁ。今年は寒くて石油ストーブと電気ストーブまで購入した。もうすぐ離婚して1年になる。



by zuzumiya | 2019-01-13 19:23 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)

資生堂のばら園

資生堂のばら園のボディソープを使っている。以前にどこかで薔薇の香りがストレス緩和になると聞いて買ってみた。使ってみて正解だなと思ったのはまさにその独特な香り。薔薇の香りを配合している商品は昔からいくらでもある。アロマ全盛の今、薔薇の香りはむしろ単純でチープな感じさえする。でも、資生堂のばら園はずっと生産されていて廃れていない。薔薇系の老舗といってもいい。芳しいだけならいくらでも商品はあるが、なぜ資生堂のばら園なのかというと他のメーカーや商品と違う昔ながらの石鹸の香りを、横文字のソープではなく漢字で書くところの石鹸の、楚々とした控えめなでも凛とした香りをそこに感じるからだ。何と言えばいいか、陽じゃなく陰の、薔薇なのに花で例えるのも変だが、洋花でなく和花の、例えば沈丁花なんかの甘いだけじゃない苦味の混じった、気品だけじゃないどこか獣っ気も含んだ奥深い香りが、資生堂のばら園の薔薇の香りには配合されてる気がする。昔ながらの石鹸の、和の香りがしんみりと、そうしんみりとがぴったりだが、匂い立つように含まれている。ドレスの薔薇じゃなく、着物の薔薇だ。石鹸は使い始めてすぐに水を吸って香りがぼやけてしまうのが残念で、いつしか香りが一定に続くボディソープを使うようになった。他社の数あるボディソープの薔薇の香りは確かに薔薇らしい明るく健康的で上品な香りだが、人工的で平面的で飽きやすい。単純で何か秘めた感じがない。資生堂のばら園には懐かしい陰りがある。
by zuzumiya | 2019-01-02 22:48 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)

years

odolという若手のバンド。たまたまラジオから流れてきた曲、後で調べて「years」だとわかったんだけど、ボーカルの声と切ないメロディがよくて「あ、コレいいな」と思った。いつもならそのままメモだけしてCDを買うまで至らないんだけど(そういうバンドはいっぱいある)、今回はなんだか買っていた。自分が、まだ53だけど、何か病気にでもなったらもうこんないつもの日常は過ごせないんだろうなぁってぼんやり思い始めてきて(そんな風に思う年でしょ?)、人生で出会えたものはきっと自分にとって意味があるっていうか、その時必要な何かを持ってるものなんだろうな、って思うようになった。今までの人生の中でどんなに好きなバンドでもアルバムの全曲好き、なんてことはまずないんだけれど、だからこそ一曲でも好きなものがあったら、それは奇跡でラッキーで、神様がホラって差し出した宝物なんだと今は思う。「years」じんとくる歌。好きだったあの人の歌にちょっと似ていて「ねぇ、ほら、でしょう?」と笑いかけたくなる懐かしさ。
by zuzumiya | 2019-01-01 19:30 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)

夜を描いたいい絵本

みやこしあきこさんと言えば木炭で描いた絵本『もりのおくのおちゃかいへ』が有名だけど『よるのかえりみち』っていう絵本を見つけて、これがまたすんばらしいの!
「私、こういうの探してたのよ」と思わずつぶやいたもん。うさぎの坊やがね、母さんの背中におぶられて、夜の帰り道を歩きながら通りの家々の窓を覗いていくのよ。その窓からいろんな暮らしが一瞬垣間見えるわけ。そういう窓の外側から額縁のように切り取られた暮らしを見るって、どうにもこうにも幸せしか見えないのよねぇ。
時々、夜歩いてて、網戸越しに蛍光灯の煌々とついた窓からテレビの野球中継かなんかチラリと見えてさ、テレビの反対側にはやっぱりっていう感じでランニング姿のおじいちゃんがのんびり座ってたりしてんのが見えて「ああ、ここにも小さな幸せがあるなぁ」なんて思いながら、他人事なのにしみじみいい気分になったりしたことある。ああいうの、窓の内側にいると日常だからさほど気づかなくて、窓の外側から客観的にあらためて見ると不思議とどの家だって幸福そうに見えちゃうんだよね。本当はいろいろ問題も抱えているのにさ。そういう窓の外側から見つめる、想像する日々の暮らしっていうコンセプトがもう本当によくて、私好みなのよね。ほら、エッセイを絵本にしたようなのが好きなの。あんまり事件のない、日々の暮らしをありがとうってやつ。Amazonのコメント欄にひとりだけ動物じゃない方がもっと共感できるって書いてた人がいて、私もその意見には同感で、その人がすすめた絵本にイブライスの『おやすみなさい』というのがあって即買いした。絶版で市内の図書館になく中身を点検できなかったけど賭けてみた。たぶん、いい絵本だろう。今から楽しみだ。


by zuzumiya | 2018-09-08 19:00 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)

今が聞き時、旬なアルバム

雨と休日さんからCDが届いた。これがまたいい感じ。カーテンを揺する晩夏の夜風と虫の声とそこに滑らかで艶やかなギターとゆったりしたオルガンの音色がふうわり溶けていく。柔らかな灯りに包まれて揺り椅子に凭れて読書する極上のひとりの時間よ。やっぱり、寺田さんっていいセレクトしてるよなぁ。ほんとにこの人が居てくれてありがたい。頼りきってるもん。

※今回購入したアルバムはジャマイカが誇る国宝級ギタリストのアーネスト・ラングリンのインストルメンタルアルバムの復刻版『Softly with RANGLIN』です。今の季節にぴったり。これより暑いと冷房の部屋でいい塩梅に外の虫の声が聞こえないし、どっちかっていうとキューバのフィーリンの方が合う。これより涼しいと秋っぽくなりすぎて、ギターの音色が夏の気配を引きずり過ぎてて浮いてしまう。晩夏の今だよ、最高な聞き時は。そういうジャストフィット感、寺田さん凄い!ボヤッと灯るネオンのような音色のエレキギターのトレモロがまたいい。


by zuzumiya | 2018-09-05 20:15 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)

『荒地の恋』から始まって本2冊

以前、ねじめ正一さんの『荒地の恋』を読んだことがある。いい歳をした大人の、有名な荒地派詩人たちの恋愛沙汰である。昔から芸術家にはミューズの存在が欠かせないが、田村隆一さんの奥さんである田村和子さんもそういうことか。隆一さんの同級生で友人であった詩人の北村太郎さんと恋に落ち、北村さんは妻子を捨て、隆一さんの方は若い女性と暮らすために出て行き、その夫のいない家に今度は北村さんと住み、あろうことか隆一さんが女と別れて帰ってくると今度は北村さんが出て行くというすったもんだ。最後には隆一さんと北村さんの狭間で精神を病む。その様子を北村さん側で静かに見守っていたのが橋口幸子さん。和子さんのいた鎌倉の家に間借りして、北村さんと西と東にわかれて住んでいた時期がある。その頃の北村さんの日々の姿を淡々と綴ったのが『珈琲とエクレアと詩人』というエッセイ。題名が洒落てて思わず購入し、昨日読了した。著者の北村さんを見つめる目線がとても優しい。縁側で日向ぼっこしているような穏やかな気持ちになる。自分の妻子を捨ててまでの激しい情熱家とは思えない。改めて『荒地の恋』を読み返したくなり、図書館に今日受け取りに行く。来週の土曜日あたり、ミューズであった田村和子さんの方を同じ橋口さんが綴った『いちべついらい 田村和子さんのこと』が届く予定だ。北村さんの苦悩と孤独を見つめていた橋口さんがその原因を作ってきた和子さんをどう書いているのか、楽しみ。
by zuzumiya | 2018-08-26 10:52 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)

絵本もいろいろ

正職じゃないので子どもを集めてマイ絵本を読み聞かせするということはない。若い頃に一斉保育の現場で使っていた仕事用の絵本や自分の子どもの子育てに使った絵本は子どもの成長や引越しを機に古本屋に売ってしまった。図書館の児童書担当の頃には絵本の情報はあってももう集めようとは思わなかった。自分で好きなように企画でき、棚を作れたことで満足していた。
しかしいま、もうすぐ53になるこの頃、ふっとまた絵本を集めてみようかな、と思い始めている。歌人で文筆家で絵本の収集家でもある大好きな穂村弘さんの影響とも言える。大人で、今の私の感性で、いいなぁと、大事に何度も読んで持っていたいなと思える私らしい絵本だけを細々と毎月の給料の中から趣味的に集めていこうかな、と思うのである。小説やエッセイ、写真集や画集に雑誌、詩集や句集と私らしいセレクトで本棚は埋め尽くされているけれど、絵本も少ないが残してあるものはある。このブログでも紹介してきた。
実は我が町には絵本専門の洒落たお店があってくれて、今日は病院に行きがてら(保育士はいつも喉をやられる)そこへ寄ってきた。絵本専門だが店内にはジャズが流れ、外国の玩具や置物、可愛らしい文房具や雑貨や大人の読み物もあったりする。こういう本屋さんなのに文房具やら雑貨の置いてあるお店が大好きなのだ。本も生活の一部、暮らしを彩るものだから、雑貨と一緒に置いてあってもいいと私も考える。そういう空間は生きること、日々暮らすことを丸ごと楽しく豊かにしてくれそうだ。
そこで今日は6000円も使ってしまった。ブックオフのオンラインで買えば安く済むのに、山小屋のようなお店の洒落たあたたかい雰囲気が財布の紐を緩ませた。ポストカードや猫の置物まで買ってしまったのだ。
最近は月がきれいだから荒井良二さんの『きょうはそらにまるいつき』を狙っていた。「みんながそれぞれの場所で月をふっと見上げる感じ、この癒しの瞬間が好きなんですよねぇ」と店主に本の感想を述べて、こういう感じの月の絵本、夜の絵本を探していると伝えておいた。そろそろ秋に向けてそういった本の棚を作るだろうから、また覗きに来ます、と。
気になったのは『よるのおと』。たむらしげるさんの「たむらブルー」と呼びたくなる美しい青が印象的な、夜の音だけを取り上げた繊細な本だ。コンセプトはすごくいい。内容もいい。でも、一時期たむらさんの絵はCMに使われてしまって、それで一気に私の中ではチープになってしまった。そこが引っかかって購入に至らなかった。この手の本は大人ウケするだろう。大人が自分のために買いたくなる絵本。実際に大勢の子どもに読み聞かせするには内容が繊細すぎて、仕事では使えない類の本だ。仕事では子どもとのやりとりを楽しめる参加型と呼ばれるジャンルの絵本がよく使われる。そういう絵本はとにかく大勢の集中と興味を引きつけ、盛り上がるのである。でもそういうタイプはあくまで仕事や子育て中だけのもので、いわば子どもと一緒に遊ぶ絵本であって、大人が大人の感性でその絵本の持っている豊かさに気づき、しっとり味わえるというものではないので、子どもの成長や離職でまんまと古本屋に売られてしまうのである。
私は店主に保育士ではあるがその辺のことを伝えて、仕事と離れて自分で楽しみたいための絵本を探していると付け加えておいた。来月の給料日過ぎにまたふらりとお店を訪れてみようと思う。どんな棚になっているか、新しい発見はあるか。



by zuzumiya | 2018-08-25 15:18 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)

金曜日の夕焼け

自転車を押して帰る坂道で見上げた空に夕焼けの雲。
金曜日の夕焼けって、なんて清々しいんだろう。なんて愛おしんだろう。





by zuzumiya | 2018-08-24 20:36 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)

上田早夕里さんにハマりそう!

読むものがいっぱいあるくせにまた本を買ってしまった。
上田早夕里さんの『破滅の王』である。直木賞の候補作?だかになってる?
光文社文庫の『魚舟、獣舟』を購入しようとして、破滅の方を知ったのである。久々のフィクションフィクションしたぶっ飛んだ世界に身を委ねよう。山尾悠子ともども。
と書きながら、今は松尾スズキの『東京の夫婦』を読んでいる。放屁の数だけセックスが減るそうである。うう。

by zuzumiya | 2018-07-07 17:05 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)

お香、嫌いだったの?

最近になってわかったことだが、飼い猫のももはお香が大嫌いなようだ。チビは平気で部屋にいるが、チビはもともと喉を鳴らすことをせず、うれしいと鼻をグスグスさせる変な猫なのでひょっとしたら鼻が悪いんじゃなかろうか。
香りものが好きな私は秋から冬はアロマ、春から夏はお香と決めている。アロマの時はももも平気で部屋にいるので、単に燻されるのが嫌なのか、はたまた彼女の鼻は人工物を嫌う自然派なのか。
ペットは子どもと違って飼い主に絶対的に似るはずである。それはそうだろう、飼い主のいる世界がペットの世界の全てであるから。だからうちの猫は音楽の趣味も私が育てた通りに耳が育っていると思っている。いつもネットでCDを買う時は一緒に試聴をし「ねえ、これ、いいよねぇ?」なんて訊くと、決まって2匹はベッドで体をうんと伸ばしてリラックスしていてくれる。「そうか、そうか、やっぱしいいか」と購入ボタンを即座に押す。私は彼女らの感性をそうやって信頼しているのである。
なのに、ももったら、私の好きなお香は火を点けると必ず部屋から出て行ってしまうのである。それも今年になってから。今までは耐えていたのかと勘ぐってしまうよ。ももと共感できないなんて、なんだか寂しいじゃないか。

※今日買ったばかりのお香。香彩堂のENGIMONOイノセンスシリーズ「波うさぎ」。甘すぎず渋すぎず、夏らしい爽やかな香りです。

by zuzumiya | 2018-06-30 19:59 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(4)


ふだんの暮らしに息づいているたいせつなもの、見つめてみませんか?


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