健やかなる人・石田千
石田千の随筆『店じまい』。
いつもながら彼女らしい風味のある、遊び心のある文体。つっかけで水たまりをひょいと飛び越えるような自由な比喩。選んでくる題材もいつだって日向の匂いのする懐かしいものばかり。それらが合わさって文章全体から彼女らしいおっとりした空気が漂う。でも、その穏やかさの底には芯の強さ、しっかりと育ってきた健やかな骨格みたいなものを感じる。
「文は人なり」というけれど、彼女の書く文章は彼女の風貌そっくりだ。
どちらかというと素朴であたたかみのある、恋人よりお母さんが似合いそうなこざっぱりとした顔立ち。手足が長く背も高く、よく笑い、よく歩き、よく食べる体育会系。
随筆の文章だけはどうやっても人柄が出てしまう。
あるがままの自分を自分で嫌いとか駄目だとか、そんな風にばかり思っていたら、物語が転んでいくような、登場人物がひとりでに語り出すような、そんな助けのこない随筆というジャンルは、シビアすぎて書けなくなってしまうだろう。
自分を好きでいること。大らかに認めて否定しないこと。信じてあげること。
そういうことが芯からゆるやかにできてるから、文章は書いていけるし、伸びやかな文体のまま行けるんだろう。そんなふうに自然に思わせるところが、実に健やかなんだよな。表現の世界では、きっと根の健やかな人だけが残っていけるんだろう。
※千さん始めなら、『月と菓子パン』からどうぞ。
いつもながら彼女らしい風味のある、遊び心のある文体。つっかけで水たまりをひょいと飛び越えるような自由な比喩。選んでくる題材もいつだって日向の匂いのする懐かしいものばかり。それらが合わさって文章全体から彼女らしいおっとりした空気が漂う。でも、その穏やかさの底には芯の強さ、しっかりと育ってきた健やかな骨格みたいなものを感じる。
「文は人なり」というけれど、彼女の書く文章は彼女の風貌そっくりだ。
どちらかというと素朴であたたかみのある、恋人よりお母さんが似合いそうなこざっぱりとした顔立ち。手足が長く背も高く、よく笑い、よく歩き、よく食べる体育会系。
随筆の文章だけはどうやっても人柄が出てしまう。
あるがままの自分を自分で嫌いとか駄目だとか、そんな風にばかり思っていたら、物語が転んでいくような、登場人物がひとりでに語り出すような、そんな助けのこない随筆というジャンルは、シビアすぎて書けなくなってしまうだろう。
自分を好きでいること。大らかに認めて否定しないこと。信じてあげること。
そういうことが芯からゆるやかにできてるから、文章は書いていけるし、伸びやかな文体のまま行けるんだろう。そんなふうに自然に思わせるところが、実に健やかなんだよな。表現の世界では、きっと根の健やかな人だけが残っていけるんだろう。
※千さん始めなら、『月と菓子パン』からどうぞ。
by zuzumiya
| 2010-02-10 08:54
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by zuzumiya
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