シェアハウスの暮らし

離婚した元夫は引越しするためのお金が貯まるまでの約束で家の一階に住んでいる。
一階が彼の、二階が私のテリトリーというシェアハウスの感覚である。
他人同士なので当然、生活に関わるお金は全て別々である。食品はもちろん、トイレットペーパーやシャンプー、部屋の電球に至るまで自分で買ってきて自分で使う。洗濯洗剤や冬場の灯油、市指定のゴミ袋なんかは切れたとわかった方が買いに行き、キチンと相手に半額を請求する。
冷蔵庫を開けるとそれぞれが買いためた食品ストックが並んでいる。だいたいいつもあるのは豆腐、納豆、ヨーグルト、チーズ、牛乳、チョコレート。それにそれぞれの夕食とおぼしき惣菜や弁当。弁当は台所が一階にあるためになんとなく使いづらい私のもののことが多い。食品には念のため互いの名前を書いておく。元夫は苗字の頭文字を一字書く。ちょっと前までその苗字で、今も職場ではそう呼ばれている私はついうっかり彼のドレッシングを使ってしまい、ムッとされたことがある。でも、そのドレッシング、私も好きなやつで夫婦の頃から普通に使っていたものなので間違えるはずである。
面白いのは上でも書いたように互いが同じものを選んで買ってきていること。しかも紛らわしいことに買っているのが近所のスーパーだから、パッケージも全く同じなのである。年齢も50代と60代の健康を気遣う中高年、夫婦歴20年以上だった二人だから、食の好みが似通っていてもしかたがない。冷蔵庫を開けると既に買ってある豆腐があって、それがなんとなく右端に寄せてあって、私は自ずと冷蔵庫の左端に自分の名前を書いた同じ豆腐を置いたりする時、どこか馬鹿馬鹿しさのような、しらけた可笑しみのような、でもこれが現実なんだというほんの少しの切なさの混じった変な感情を味わう。
先日は元夫が「もずく」を冷蔵庫に買ってきていて、「おっ、もずくか。もずくの存在を忘れていた」と私もいそいそとスーパーへ行き、同じもずくを買ってきた。元夫は同じもずくを見てどう思ったろうか。別に健康食品ばかりを食べて相手より長生きしてやろうとか、張り合う気持ちはないのだが…。
昨日は「夕飯には寿司が食べたいな」と買ってきて、冷蔵庫を開けるとやっぱり寿司のパックが押し込まれていたから、クスリと笑ってしまった。夫婦を20年以上もやってきたのだから、私が作った元夫の舌であるとも言えるし、好みが似ていて当たり前なんだけど「なんだかこの夫婦が別れるのってどうよ?」と他人事のように思った。

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by zuzumiya | 2018-07-08 10:06 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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