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恋愛ものがダメなのよ

昔から読書は小説なら自分の境遇、今のありように似た感じのものを探して読んできた。52の私はたとえ巷で人気があっても、もう女子中学生の学園ドラマを読む気はしないのである。漫画であってもそれは同じ。よくオバサンが少女マンガに熱中するが、あの心理がわからない。よくそこまで図々しくも脳内を若返えらせたものだ。フィクションに乗るにもほどがある。
設定が自分と似ていればより主人公に共感しやすい、話に入り込みやすいという理由もあるが、私の場合、心の奥底の「どうか私の気持ちを誰かわかって」と訴えてやまない飢餓感がそれらの本を選ばせているのだと思う。主人公と周囲の軋轢、齟齬、そこから生まれる怒りや失望、切なる願いに本音のつぶやき、そういったものからきっと「おんなじだぁ」と癒されているのだ。離婚直後は桐野夏生さんの『だから荒野』や『魂萌え』なんかを嬉々として読み返していた。
困ったことに、最近は恋愛小説が読めない。離婚でズタボロになった心が恋愛を拒否ってる、好きだ愛してるの浅薄さを見抜いてしまってる、そうとしか思えないのである。昔は川上弘美さんの『センセイの鞄』や小川糸さんの『喋々喃々』なんかの大人の、大人ならではのシブくてぬるい恋愛ものが好きだったから、山田詠美さんの『無銭優雅』あたりならいいだろうと本棚から取り出してみたが、途中でやっぱり嫌になってしまった。男女が仲睦ましくしているとスーッと気持ちが冷めてつまんなくなっちゃうのである。情けないことに、小説の中の二人にヤキモチをやいてるようだ。今の私は同じ理由で恋愛映画もムリ。ああ、つくづく枯れてきたと思う。
で、小説ではないのだが、今回エッセイを購入した。詩人でエッセイストの平田俊子さんの『低反発枕草子』。帯の文章に惚れた。【東京・鍋屋横丁 ひとり暮らし。三百六十五日の寂しさと、一年の楽しさ。四季おりおりの、ささやかな想いに随いて…】
この寂しさと楽しさの単位の使い分けが上手い。もちろん、平田さんは離婚経験者である。


by zuzumiya | 2018-07-03 21:49 | 日々のいろいろ | Comments(0)
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