あと何回会えるのだろう。
中学時代の友人に10年ぶりぐらいに会ってきた。花粉症のマスクの上の目元にくっきりとシワがあって、開口一番、「年とったねぇ」と言ってしまった。
スタバで珈琲のおかわりをしてオバちゃん同士、えんえんと話した。「そんなことがあったんだ」話しても話しても話したりない、聞きたりない。彼女は職を失い、私は結婚生活を失っていた。二人ともが緑内障になってしまっていた。途中でトイレに立って鏡を見れば、「こっちこそ年とったなぁ」と苦笑した。珈琲でぽかんぽかんの腹を抱えて、駅ビルで二人の名前のイニシャルのKのキーホルダーを記念に買った。「何かあってもこれ見て頑張ろうね」と互いに頷きあった。
新宿の雑踏の中で「じゃあね、バイバイ」と互いに手を振って別れる。瞬間、中学の制服を着たあの頃の彼女がだぶって、ものすごく寂しくなった。こうやって何度も通学路で別れてきたんだよなぁ。時間は本当に取り戻せないんだなぁ。中学のあの頃から遥か遠くに歩いてきてしまったんだなぁとしみじみ思った。歩きながら、あと何回私たちはこうして会えるんだろうと、ふと思った。大病もしないで、大きな怪我もしないで、元気で、それほど不幸な出来事にもあわずに、こうしてまた笑って会えるだろうか、と考える年にいつの間にかなってしまった。
人付き合いは年と共にどんどん億劫になるだろう。でも、「毎年会おうね」とメールした。「これからも、よろしく」と。
by zuzumiya
| 2018-03-11 22:32
| 日々のいろいろ
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by zuzumiya
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