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家族の味覚を作っていることの覚悟と自負を持ちましょう

料理好きの祖母に育てられた私は、様々な手料理を食べて育ちました。毎日のお味噌汁も、運動会の巻き寿司も、ほどよくしんなりした白菜のお新香や沢庵も、大正生まれにしてはハイカラなスパゲティミートソースも、お萩も草餅もおせち料理の数々もみな美味しかったけれど、台所に立ってその一つ一つを教えてもらう前に祖母は70歳で逝ってしまいました。暢気に食べるだけ食べて、作り方は分からずじまいなので娘に教えてやることもできず、料理というものも死んであの世に持って行くものだと思い知りました。それでも、舌だけは繰り返し食べた祖母の味を覚えていて、売り物の巻き寿司を頂いてもどこか物足りなさが残ります。人の記憶がどんなに薄れても、育てられた味覚だけはゆるぎなくあり、人生の最後まで口にするものに美味しい、まずいの区別をはっきりとつけていくのです。味覚こそ大いなる財産と感謝しつつ、祖母の料理に追いつこうと励む毎日です。


※石垣りんさんの「儀式」という詩にあるとおり、母親は娘に包丁を持たせて料理の何たるかを教えなくてはならないのでしょう。この心がけでまな板の前に立っているかと母親である私は反省してしまいます。一読あれ。
by zuzumiya | 2010-02-27 00:26 | 日々のことづけ | Comments(0)
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