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今を歌え!

ネットのニュースを見てびっくりした。
エレカシがNHKの紅白に出場する。凄いことだ。ああ、ほんとうにビッグになったんだなぁと感慨深く思う。そして、こうなったからは来年は更に躍進すること間違いないだろう。さぞかしメンバーや家族、親族、友人、関係者らは喜んでいるだろう。もちろん、売れないエピックの頃からずうっと支えてきたファンだってそうだ。こんな日が来るとは…、だろう。紅白なんて、とは言わない。日本の歌い手ならこの歴史ある晴れ舞台には誰もが本音では立ちたいはずだ。売れて、知名度を上げなければオファーもないのだから。宮本さんはロックの人だが、意外とこういう権威に弱そうである。今頃、うれし涙じゃないだろうか。さて、この最高な年の最高な締め括りにどんな曲を持ってくるのか、セットは?、衣装は? 楽しみでしょうがない。
とはいえ、実は私自身は最近ではめっきりエレカシは聞かなくなってしまった。以前にも書いたように専らクラシックのピアノ曲を聞いている。実は「マスターピース」あたりからなんとなく心が離れてきて、前作の「レインボー」では心底気に入ったのは「なからん」だけだった。その後、幾つかシングルが出ていたがメロディはまだしも歌われていること(つまり、フレーズ、歌詞)にかわりばえがなくて、正直、飽きがきていたことを告白する。宮本さんの歳に抗いつつ、それでも更に上を目指す、勝ちに行くという飽くことない熱情に私自身の心の老いがだんだん付いていけなくなったんだろう。互いがまだ若かった頃には確かに悩ましき心の代弁者だったはずなのに、いつからか置いていかれた、そんな気がする。「心は巧みなる画師の如し」という言葉があるが、確かに宮本さんのように勝つ、勝つ言っていると本当に勝負運を引き寄せて物事に打ち勝てるのか、と今回思うはめになった。
新曲「今を歌え」はそんな置いてけぼりをくらった(いや、自ら彼の言葉を信じずに後ろを向いてしまった)私でも久しぶりに心が揺さぶられる曲だ。歌詞でいえば、やはり「今宵」で歌ったような、これぞ宮本節とわかるさほど変わりばえしないいつもの言葉が並ぶ。この曲でも主語は意識的に「わたし」を用いている。宮本さんの凄いところはメロディに乗せるとこの何度も耳にしてきたようなシンプルすぎる歌詞が言葉以上に深く沁みてくることだ。そうであるために、素人の私は「もっと何とかできないものか」と言葉をいじくり回したくなるのかもしれない。
「わたしは何度も生まれ変わり、そして歩いてきたのさ」なんて、一見何ということもない歌詞だが、聴きながらしみじみと「あぁ、そうだった、そうやって生まれ変わってきたのかもしれないなぁ」と思いあたる。そんなふうに歌われて、自分の幼少期から青春期、そして中年の今までの山あり谷ありの人生の幾つかの場面が思い出されて、「そういやぁ、大小にかかわらずいろんな夢を持ってその都度コロリと人が変わったように追いかけては挫折して正当化して、やがてそんなこともプイと忘れて、また人が変わったように次の興味へ移って行ったもんな」と苦笑する。そうやって生きてきたのはほんとに宮本さんの歌う「何度も生まれ変わり」だった。過ぎ去ったたくさんのあの頃のかわいくて無様でバカ正直で怖いもの知らずで健気な自分にそっと「ご苦労様」と語りかけたいような気分になる。そして、今があることを、こうやって部屋で椅子に座ってこの歌にじっくり耳を傾けていられる今があることをほんとうに心から幸せに思う。ああ、君に会えてよかったよ、ほんとに、なんて柔らかな慈愛に心が満ちてくる。
でも、そんな思い出に浸って切なくなってしまいそうな歌の後半で「今、飛びたて、今、輝け、今、戦え、心よ」と「今」をたたみかけて歌が続く。何事も諦めてしまいそうになる自分に「そうか、今なのか、この今にまだ光はあるんだ、力はあるんだ、信じろ、心よ奮い立て」という気にさせる。宮本さんが自分自身に言い聞かせるように何度もまっすぐ歌うから、それはどこか彼自身の迷いも憂いも影さえも想像させ、老いに向う後ろ向きになりがちな同じ中年の人間としてさもありなんとも思うし、そのシンパシーが離れてしまったこの手をもう一度引っ張りあげてくれたようで、非常に彼らしいあたたかくてそして厳しいメッセージをくれたように思えるのだ。この歌を何度も噛みしめるようにして、空を見て、日々を送っている。来年はまたライブに行きたいものだ。


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by zuzumiya | 2017-11-18 15:32 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)

ペットショップの恐るべきおばちゃん

昨日、ジョイフル本田に行った。私は猫の方へ夫は金魚の方へと別れたのだが、用事が済んで夫の元へ行くと、夫は爬虫類のケージをじいっと見上げていた。
「どしたの?」
「あれ、見てみろよ、さっきからずっとぶら下ってるんだけど、どうにもよじ登れないみたいなんだよ」
見るとカメレオンがケージの天井の細かな網に両手の爪を取られて、体全体がぶらりと宙にぶら下がっている。引っかかった爪だけで懸垂のように全体重を支えているのだ。どうやったらあんな高いところに飛び移れるのか、はるか下に遊び木の枝がある。
「落ちることもできないし、さっきから何度か足を上げてるんだけど届かない」
夫が言うそばから、カメレオンはぷっくりした腹を折り曲げて力の限り腹筋を使って両足を上げた。二又に分かれた手のような足は可愛らしく申し訳程度にほんのちょっと上がっただけで、とても天井には届かない。すぐに力尽きて、またぶら〜んと体を伸ばしてしまった。
「大丈夫かぁ? あれ、ヤバいっしょ、どうみても」
「ああやって、何度も試しちゃ、休んでるんだよ、さっきから」
ケージを見上げながら喋っている私たちの脇を小さな男の子とその父親が「あんなことやってるよ」と笑いながら通って行った。
「あれ、店員さんに言わないとぜったい体弱って死んじゃうよ」
私は近くにいる店員を呼びに行った。ペットショップに似合わない茶髪にピンクの口紅の厚化粧のパートと思しきおばちゃんだった。事情を説明して、おばちゃんがてっきり男の飼育員を連れて来るものと待っていると、なんとその茶髪のおばちゃんが赤いゴム手袋をはめてこっちに来るではないか。「まさか、おばちゃん自ら?」と思って見ていると、さっさと踏み台に乗ってケージを開けると、天井からカメレオンを引っぺがして
「もう、何してんでちゅか、こんなとこ登ったらダメでちょ。下りられないでちょ」
掌のカメレオンに向かって厚いピンクの唇をすぼめて赤ちゃん言葉で話かけている。ゲゲッ。私も夫も度肝を抜いた。おばちゃん、ただのパートじゃなかったの?
帰りの車ではカメレオンの不思議よりニンゲンの不思議の方で盛り上がったのは言うまでもない。







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by zuzumiya | 2017-11-05 13:55 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)


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