暮らしのまなざし

2016年 11月 27日 ( 1 )




物欲を止めるもの

自分で書いておいてなんだが、たしかにクリスマスのある12月はあれもこれも欲しくなる物欲の月だ。ネットショップにはどこもクリスマス特集がされてスクロールする指が止まらない。読書をしていて、ちょっと言葉の意味を調べるはずが、いつの間にやら美術館のショップに行き着き、ダリの髭が動く腕時計やらマグリットやギルバート&ジョージの皿を嬉々として見ている。ああ、楽しい。時を忘れて、気づけば空が白んでいた。さほど高価でない細々とした飾り物をあれもいい、これも素敵で買い揃えても、ふと、もし私が死んだらと思うと「子供たちが遺品整理で面倒になるな」と思いついた。いや、別に死ぬ予定はないのだが。本もそうだ。いまの住居へ引っ越してくる際に思い切りよくかなりの量を売ってしまった。6段の背の高い本棚ひとつに入るだけに選別した。今となっては「画集まで売ることはなかったな」とやや後悔する日もあるが、今でも老後にこれなら再読するだろうという本しか置かないように心がけてはいる。本棚を覗けばその人物がだいたいわかるというが、そうやって選ばれた私の本棚は詩集とエッセイがほとんどを占め、漫画と絵本が少々、小説の類は読んだらよほどでないかぎりすぐに売っている。気に入った本しか置いていないのでまさに「これらの本を読んでもらえば母であり妻である私という人間がホントはどういう人だったのか、あなた方が知っている以上に見えてくるはずよ、ふふふ」と見るたびに満足して思うのだが、時々、さっきのようにふと遺品整理のことが頭を過る。「こんなに本を残されても趣味が合わなきゃただの紙屑だ。夫も子供もきっとさっさと売ってしまうか、捨ててしまうのだろうな」と。「本を読んでまで、死んでしまってもういない私のことを更に深く知ろうとしてくれるだろうか。もともと本などさほど読まない夫と子供達じゃないか」と。そして「結局は人間は自分の脳みそに蓄えた思い出だけでその人を形作ってしまうものなんだろうな」とまで思う。残されても困る、ただの自己満足のなれの果てを私は貯金を切り崩してせっせこ買い求めているだけなのかもしれない。ここに思考が至ると、悄然としてくる。本棚の本が、自慢のCDだって飾り物だって、私以外の人にとってはさほど価値のないガラクタなのかと思うと集めてとって置く意味がない。で、物欲にようやくセーブがかかる。はあ、これが生前整理ってやつに繋がるんでしょうか。







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by zuzumiya | 2016-11-27 09:16 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(1)

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