暮らしのまなざし

ランチョンマットの食卓

よくドラマや映画の食事シーンでランチョンマットが敷かれた食卓が出てくるが、あのランチョンマットというのは、そんなに一般家庭の食卓でデフォルトのものなのだろうか。若い頃、ふらりと入ったお洒落な雑貨屋さんで何か欲しいのだけれど財布の中身と相談しながら何を買おうか迷っている時にとりあえずランチョンマットを買ったりした。同棲時代や新婚当初に気どって使ったこともあったが、食卓にのぼったのはほんの2、3回で、後はトースターやノートパソコンのホコリよけとして掛けていた。ランチョンマットがなくなれば、自ずと箸置きというのもなくなった。ランチョンマットも箸置きも無きゃ無いで別段、不自由しない。所詮は食卓のお飾り程度のものなのだ。その無くてもいいお飾りをあえてやるというのが、その家の主婦の美意識、食へのこだわり、心のゆとり、ひいては経済のゆとりということなのだろう。
で、あなたはもし、招かれた家の食卓にランチョンマットが敷かれていたら、どんなふうに思うだろうか。
実はこの連休中に息子の彼女が泊まりにきた。朝は、ワンプレートにスクランブルエッグ、ボイルドウインナーかベーコン、薄切りのトースト2枚。ブルーベリージャムとオレンジママレード。ミニサラダと刻んだ苺やキウイの入ったヨーグルトにコーヒーというメニューで出してみた。ここでランチョンマットを敷くという手もあるが、ワンプレートがすでにちょっとカフェ風で洒落っ気がある上に、なんだかそれでは凝りすぎている、格好つけすぎている、あるいはお客に媚びている、そんな気がする。自分がもし彼氏の実家に行って、ダイニングの食卓にランチョンマットが敷かれていたら「うわっ、この家、いちいちランチョンマットなんか敷くんだ…」と内心引いて、「これは毎回なのか、それとも来客仕様の今日だけのスペシャルなのか」と考える。そんでもって背筋を伸ばしながら「もしこれが毎回なら、結婚したら、この格好つけの姑さんにはずいぶんと気を遣うんだろうな」と警戒するはずだ。そんなふうにもし息子の彼女から思われたりしたらたまらない。話す前からランチョンマットの見栄でへんな溝を作りたくはないのである。私はどっちかっていうとジャラジャラと箸立てを掻き回し、めいめいが自分の箸をひょいとつまみとるそんな気楽で大雑把な家庭が好きだ。そういう人なのだよ。


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by zuzumiya | 2017-05-14 01:11 | ちっちゃい器で生きていく | Trackback | Comments(0)
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