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by zuzumiya
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私の吉田さん2

詩人のくせに花が嫌いと言ったのは白石公子だったか。あれは切花だったかもしれないが、花の捨てどきがわからないというのが嫌う理由の一つだったと記憶している。
昨日、恐ろしいものを目撃してしまった。
以前に我が家の隣人としてブログにも登場したことのある心やさしい腰の低い吉田さん。彼がまたしても朝早く(連休なのに寝ていられない人なのだ)庭にしゃがんで何かしている。見ると咲き終わったチューリップを葉がまだ青々と勢いづいてとんがっていたにも関わらず、端からバシバシ引っこ抜いていた。球根の類のものは上手に育てれば翌年も咲いてくれるものとは知っていたが、私もめんどくさがりで咲き終わったヒヤシンスを数日迷った挙句、ついに先日、みんな引っこ抜いて見ないようにしてゴミ箱に捨ててしまっていた。同じことをしている吉田さんの姿を見て「ああ、吉田さんも翌年まで育てられないタイプなのね」といつにも増して親愛の情を深く抱いた私であった。
しかし、翌朝、とんでもないことが発覚した。いつもの出窓から何の気なしに吉田家の庭を見ると、咲き終わったチューリップだけでなく、昨日までわんさか咲いていたはずのパンジーまですべて引っこ抜かれ、更地化していたのである。
「なんでまた、パンジーまで!」と思わずつぶやいた。
実は我が家の玄関脇にもパンジーの鉢植えがある。そういう種類なのか、パンジー専用の肥料が残ってもしょうがないと園芸素人の私はやたらにあげていたら、ぐんぐん背丈が伸びて、伸びたからにはだらしなく垂れ下がり、たしかに花は付いているのだが葉がぼうぼうですこぶる見栄えが悪くなっている。時々、忙しさにかまけて水やりを忘れると、色が紫だけにまるで「花のお岩さん」のような恐ろしい姿になる。おそらく吉田さんは毎朝、我が家のパンジーの有様を見て「ああはなりたくない」と思っていたのかもしれない。それとも、チューリップ前夜にあの気の強い奥さんに何か酷い言われ方をされて、とてつもなく悔しい目にあったのかもしれない。あの優しそうな吉田さんがきれいに咲いているパンジーまでむしり取る(何故か表現がキツくなっている)とは、どうしても思えないのである。そうせざるをえない何か大きな事件があったに違いない。それとも、去年の夏に花壇がいつの間にかナスときゅうりとプチトマトの菜園化したので、強引な奥さんの命で、咲いているにも関わらずパンジーを泣く泣く(今度は泣いている)抜き取らされたのかもしれない。それとも、それとも、吉田さんは私が思っているような善良な吉田さんではないのかもしれない。実はそう考えるのがいちばん、わくわくするのである。
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Commented by zuzumiya at 2017-05-14 18:06
鍵付きコメント様、初めまして。「大人な、いい女な」などとお褒め頂き、恐縮しております。通勤時に読んで気分が悪くならないものをなるべく書こうと思います。でも、衝動的に、反対方向の電車に乗って終点まで行って一日ひとり旅しちゃうのもいいかも、なんて思ったりします。私も失敗した時になんもかんも嫌になり、早退して佃島まで行って、ひたすら隅田川のたぷんたぷんとした流れを見ていたことがあります。なんちゃって、明日も頑張りましょう。ありがとうございました。
by zuzumiya | 2017-05-07 16:21 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(1)