暮らしのまなざし

夜のドライブ

先日、久しぶりに夜のドライブに連れて行ってもらった。夫の運転で息子も一緒に。
向かった先は彼らの仕事場がある新富町や豊洲方面。東京タワーもスカイツリーも見られるきれいな夜景が広がっていた。
都心はコンビニにトイレを借りに入るにも大変なのだった。郊外のように店の前に駐車場がないので路上駐車しかできない。息子のいつも行っているコンビニの前にちょっとだけ停められる場所があるというので(もちろん運転席に運転できる人を置いて)交代でトイレに行くことにした。息子の案内で来たこともない、そしてこれからも来ることはまずないであろう道を車は進む。「そこの角を曲がって」と指示をしている道の先に、ふっと、昼間の、私の知らない見たこともないまるで他人のような息子の歩いていく後ろ姿が見えた。「あぁ、お前は昼間はここでこんなふうに私の知らない日常を一人で頑張って過ごしているのか」と思うと、なんとなく切なくなって胸が締めつけられた。
夫の職場のビルを見上げて「休日なのにまだ明かりがついてる」と感心しながら、よく一人で昼食をとりに来るという傍のビルの中に入って、「ここから噴水が出るんだ」とか「昼はこの辺いったい人で埋め尽くされるんだ」などと説明を聞くと、喧騒の中でやっぱり私の知らない見たこともない他人のような昼間の夫が一人、背を丸めて弁当を食べているのが見えてきて、その姿にふっと切なくなる。なんだか私は彼らを残してもう死んでしまって、霊魂だけになって、彼らの日常をやさしいまなざしで眺めているといった感じがした。息子も夫も、私はなんだか全てを知っているような気になっているが、実は昼間の、他人の中にいる彼らだけの日常を私は知らない。見ることができない。それはふだん考えたりしない当たり前のことだけど、どこか不思議な寂しさがあって胸に沁みる。こんなにもそれぞれが離ればなれで、一人だけで頑張っているのかと思うと。
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by zuzumiya | 2016-10-30 23:26 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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