暮らしのまなざし

原田知世の朝

休日でも朝は6時半には目が覚めてしまう。それは毎日の習慣でもあり、「休みだ、さて何して遊ぼう」とワクワクして寝ていられない性質は子どもの頃からである。で、最初にうるさい猫どもに餌をやる(どうして猫は人間の半睡と覚醒の区別がつくのだろう)。それから休日に朝寝をしていたい夫には申し訳ないが、7時には1階の雨戸をガラガラと開けてしまう。天気がいいのを確かめるとすぐさま洗濯機を回す。その後、私はパンを買いに出る。
家から自転車で10分程度のところに近所で評判の美味しいパン屋があり、7時半には焼きたてのクロワッサンが並ぶのである。私はまだ顔も洗っていない状態だが、ボサボサの髪をニットキャップで隠し、スエットはジーンズに履き替え、財布だけ持って自転車に飛び乗るのである(一応、園の保護者に会うことを考えての着替え)。
“休日の朝、自転車でクロワッサンを買いにいく”お洒落な感じに酔いしれてしまっている私は、だいたいいつも道を間違える。通勤の道を通ってしまうのだ。「なにも休日にここを走らなくても」「明日はもうこの道を走るのか…」ときまって暗い気分になる。
でも、今朝はいいことがあった。たまたま、あるマンホールの上を自転車で通ったのだが、一瞬だが、シャラシャラと金属を触れ合わせたようなきれいな水音がした。“休日の朝、自転車でクロワッサンを買いに行く”に何としても酔い戻りたい私は、たかが下水の流れを「水琴窟!」と感じ取った。我ながらすごい聴覚、すごい曲解である。
パン屋は早朝なのにトレイを持った客でごった返していた。今回も保護者に会うこともなく、無事、ふかふかの焼きたてクロワッサンを6つ確保できた。
帰りはコースを間違わないように意識して自転車を走らせる。間違っても水琴窟のマンホールには近づかない。あれは「あくまで水琴窟でなければならない」と酔いしれた脳が命じてくる。玄関のドアを開けると、洗濯機が「ピーッ」と絶妙なタイミングで終了の音を鳴らした。コーヒーをたてながら、洗濯物を干し、すべてを終えると私は原田知世のような笑顔で休日の朝の食卓に向かうのである。
[PR]



by zuzumiya | 2016-10-16 14:28 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://zuzumiya.exblog.jp/tb/23291957
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。

ふだんの暮らしに息づいているたいせつなもの、見つめてみませんか?
by zuzumiya
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

※このブログの無断な転載はご遠慮願います。

最新の記事

最新のコメント

検索

ブログジャンル

画像一覧