暮らしのまなざし

また、会いましたね

朝、二人連れのおばあさんを見かける。健康のために、毎朝誘い合って散歩をしているようである。仲良く寄り添いながらゆっくりと歩き、信号を待つ間、頭を寄せて何にもいないはずの川を見下ろし、楽しそうに喋っている。その姿をぼんやり眺めるのが、私の朝のなごみというか楽しみになっている。夏の盛りの頃、二人連れが一人になって歩いている時期があった。二週間くらいだったろうか。「あれ、今日も一人だ」と思いながら見るおばあさんの背中はやっぱりつまらなそうで寂しそうだった。「まさか、入院でもしたのかな」と想像して、「あの年になると何にせよ連れというものがいなくなるのは堪えるよな」と、しみじみ思った。
午後出の際に見かけるのは、バイクに座って川のガードレールに両足を乗せて、木陰でぷかりと煙草をくゆらす新聞屋のおじさんだ。初めて見たときは「あ、さぼってる!」と思った。おじさんは私の姿を確認すると、また川の方を向いてゆっくりと煙草の煙を吐いてみせた。「そういえば新聞屋さんみたいな配達の人の休憩っていつ取るんだろう」と思い、昔、やっぱりバイクを停めて自動販売機でジュースを買っていた郵便配達のお兄さんがなんとなく不思議に見えたことを思い出した。「休憩取らなきゃ、配達だってやってられないもんな」と納得した。見かけるたびにおじさんは大胆にも両足をガードレールに乗せているので、そのリラックス極まりない姿が可笑しくて、いつでもニンマリしてしまう。
町の中のこういう小さな何でもない出会いを愛おしいと思う。相手は全くの知らない人だが、何度か見かけると「ああ、また会いましたね」という気になって、たぶんそういう親しみのようなものがこちらの目線にあって、以心伝心、向こうも悪い気はしないのだろう、目元にほんのりやわらかみが混じりだす。
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by zuzumiya | 2016-09-25 09:14 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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