スコップの彼

東京の初雪。
自宅から園までは自転車で30分ほど、タクシーなら2600円はかかるぐらいの結構な距離。昨日は朝の7:00には玄関の鍵を開ける早番だったので、5:00には起きて、まずタクシー会社に電話しました。そしたら「今日はまだどうなるかわかりません」とのつれない答え。仕方なく歩くかと決心し、2時間はみなくては遅刻するだろうなと思っていたものの実際に家を出たのが5:30。遅刻覚悟で暗い雪道をトボトボ歩いていたら、なんと、向こうから空車のタクシーが!!すぐに手を上げて止めて、思わず「奇跡です!」と乗り込みました。運転手さんによればちょうど駅へ行くところで、私が最初の客だったとのこと。途中、駅前のタクシー乗り場には人が並んでいるのが見えたそうです。ほんとにラッキー。雪の日の運をすべて使い切ってしまったのかもしれません。結局、6:00に園に着きました。

そして、路面凍結の今日。
いつも思うことですが、住宅街などそれぞれの家の前は雪かきされているのですが、みんなが通る歩道でも家に面してないところは誰も雪をかかないので、雪が踏み固められて分厚い氷になっていたりします。そういうところを自転車で通るとわかっているのだけれど、仕方がないのだけれど、「そういうもんだよなぁ」と思いながら少し気持ちが暗くなります。「みんな自分のところだけで精一杯だもんな」と。
でも、今日、素敵なものを見ました。駅へ続く自転車と歩行者のための専用道路があるのですが、朝はまだ雪が積もっていて、自転車を押して歩いて行かねばならないほどでした。でも、帰りには太陽のおかげでずいぶんと溶けて道路はきれいになっていました。「太陽ってありがたいよなぁ」と感謝をしながら走っていたら、目の前のうす暗がりにスコップを持つ人影が。道路脇の住民の一人なのでしょうか。せっせと道路の雪をかいてくれていたのです。自分の家の前の私道でも何でもない、ただ駅へと続く通行人が多いだけの公道です。「えらいなあ」と思うのと同時に「なんとありがたいことか」と感動しました。人や自転車が来る度に手を休めて立って通り過ぎるのを待つ彼。彼の前を誰もがすーっと当たり前のように通って行きます。誰ひとり、この薄闇の中で彼のやっていることのすごさに気づくふうはありません。通り過ぎてから「ありがとうございます」のひとことぐらい、なぜ言わなかったのだろうと後悔しました。彼はきっと喜んだにちがいありません。感謝されることをあてにやっていたのではなく、おそらくは「自分が朝、通る時に困るから」ぐらいの理由なのだろうと思います。でも、それでも、見ず知らずの人から「ありがとうございます」と言われたら、やっぱりうれしいのではないでしょうか。
今日は園で嫌なことがあって、ものすごくイライラして、その果てに「やっぱりうまくいかないな」と落ち込んで暗い気持ちになっていました。でもスコップの彼を見てから、「この道はきっと太陽だけじゃなく、誰かが一生懸命スコップで地道に雪をかいてくれたからこそ、きれいになっているんだ」と思って自転車を走らせていくと、不思議に気持ちが落ち着いてきました。誰からも感謝されなくても、努力が認められなくても、ひたすら頑張っている人がいることに、イライラは飛んで勇気をもらえた気がします。
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by zuzumiya | 2016-01-20 00:26 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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