暮らしのまなざし zuzumiya.exblog.jp

ふだんの暮らしに息づいているたいせつなもの、見つめてみませんか?


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長く、総じて幸福な夢。

住宅街を自転車で帰る。
以前私たち家族が住み、バラバラになり、今は母だけになったマンションのポストにはがきを入れに行く。
母には会わない。たぶん、もう店に出ているだろう。
ずっとこの道を通って、仕事に行ってたんだな、と思う。近かったな、と笑う。
あの頃はこんな日がくるとは思いもしなかった。ずっと9階に住んで、ひとりで老いていくんだろうなと思っていた。それでもいいか、と思っていた。懐かしさというより、時間が流れ過ぎていくこと、すべてがどうしようもなく変わっていくことにきゅうんと切なくなる。
暗い夜道で、ふと、これは夢かもしれない、と思う。目覚めたら病院の真っ白な天井が見えたらどうしよう。
でも、人生なんて夢のようなものだろうな、と思う。寝たきりの老婆になった私は長く幸福な夢から覚めて、病院の天井を見つめながら、「あっという間だった」と静かに微笑むのだ。ときどき、そんな想像をしてしまう。
長く、そして総じて幸福な夢。
私はこれから家に帰って夕飯を作るだろう。夫とふたり、食卓を囲むだろう。鯖の味噌煮にポテトサラダ。白菜とゆずの浅漬け。小松菜と厚揚げの味噌汁。頭の中でメニューを考え、自転車を走らせる。お風呂に入って、静かな音楽を聞きながら、この前買ったいい匂いのボディクリームを塗ろう。猫に腕枕をして眠るだろう。
幸福、だと思う。これが夢だとしても。どこからかカレーの匂いがした。
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by zuzumiya | 2016-01-13 01:33 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)