待ち猫

a0158124_23412343.jpgいつごろからだろう。ももがリビングのサッシの前で一日のほとんどを過ごすようになった。
サッシの向こうの庭には引越しで捨て時を逸した羽根布団が丸めて置いてある。
想像だが、たぶんそこへ近所の野良猫が来て休んでいるのではないかと思う。とにかくサッシ越しに野良猫と対面したことでもあって、ももはそれが忘れられなくて、日がな一日待っているのではないか。マンション住みのももからしたら、外の地べたの世界も珍しいが、そこを我が物顔で悠々と歩いていく猫を目撃したのだから、さぞかし驚いただろう。いや、あの待ちっぷりは尋常ではないから、もしかしたら、一目惚れをしたのかもしれない。一目惚れといっても去勢手術をしているからそっち系ではなく、なにか“自由への憧れ”のようなものに強烈に参ってしまったのではないかと思う。去っていく野良猫の「あばよ、飼い猫チャン」なんていうキザな一瞥に、放浪の自由を、孤高の哀愁を「カッコええ!」と思って見惚れてしまったのではないだろうか。
『庭猫』という写真集を本屋で見つけた。庭に来る姉弟の野良猫の姿を写真に収めたものだが、家の中には親子の飼い猫がいる。網戸にへばりついて家の中を覗く庭猫の姿が愛らしくおかしい。家主は一日、朝と夕に餌をあげるけれど、家には上げない。家と庭ときちんと境界線は引いているようだ。家猫はどんな気持ちで庭猫を見ているのだろう。一緒に外へ出たいと思わないのかな。庭猫は家の中へ入ってみたいとは思わないのかな。雪がたくさん降った日、ガラス越しの庭猫の姿がやっぱりちょっと可哀想に見えて複雑だった。
守られている代償としての退屈と危険や死と隣り合わせの自由。猫にはどちらがいいのだろう。こんなに愛していても、もももやっぱり連れ出してほしいのだろうか、ここではない何処かに、自由を思って。
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by zuzumiya | 2016-01-03 23:37 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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