暮らしのまなざし

立場の垣根を越えられるのか

どこの園でも同じかもしれないが、正職とパートの“立場の垣根”というものがあって、両者の意思疎通というのは実に難しいものがある。
私もずっとパートや契約の方の立場で仕事をしてきたので、正職とパートはいわば“主従関係”にあり、正職の言うことが絶対で、パートは正職の言動に疑問を抱いても反対意見は言えずに従うのみで、時にそれが腹立たしかったり、呆れたり、最後は仕事を失いたくないために“大人の対応”という体のいい諦めの境地に至ったりと、越えられない垣根の高さを私も身にしみて知っている。
私は今回、単に観察者であり、クラスに居ても保育者としては存在しない、いわば透明人間で、それゆえ漫然だろうが何だろうが、保育を、ありとあらゆる出来事を、関係を見つめてきた。
入ってすぐにパートさんの動きがイマイチだな、と思った。
子供のなかにひとり、癇癪持ちがいて、わざとやって欲しくない行動をとって、大人の気を引こうとする子がいる。保育者はその子に対して、どうしても注意をすることが多くなってしまい、マイナスの事柄を起点にした関係性ばかりになるのを防ぎたいのか、時にはサラリと見て見ぬ振りをすることもあるようだ。それはわからなくもない。
でも、「どう見たってこりゃ危ないぞ」とハラハラすることが見ていてあったのだが、その時間保育を任されているパートさんが、何も注意をしないのにはびっくりした。重ねて言うが、私の立場はあくまで観察者であり、保育者として手数に入っていない。手出しはできないのである。子供はうまくジャンプで着地して事なきを得たが、パートさんの保育の能力を疑ってしまった。そのまま見ていると、正職の担任が後でパートさんを呼んで「○○ちゃんがあそこに乗っているから注意して見てて下さい」と言葉をかけていたが、担任だって、見ていた、知っていたわけである(ま、担任は食事の準備で忙しく“見切れない”状態で、だからこそパートさんに任せていたのだが)。
こういう「あれ、注意しないでいいの?」「それ、どけておかなくて大丈夫?」というハラハラ、ヒヤヒヤが結構あって、担任に「観察なので見ているだけで、触れないで下さい」とピシャリと言われている私は何もできないので、「いいのかなぁ?」「大丈夫なのかなぁ?」と内心気を揉んで、こっそり足で床に落ちている布やチェーンを除けたりして、それだけでもかなり疲れた。
で、やっぱり、件の子供だけじゃなく、入ってほしくない狭いところに子供が入って頭から落ちてゴツン、今日も子供が指をサッシにはさんで泣いているのに担任とパートの2人の大人がいても何で泣いているのかわからず気づかなかったり、子供が4人しかいない時間帯でさえ、低い棚に腹ばいで上った子供が頭から落ちた。
なんか何かがおかしいな、うまく回っていないなと感じてはいたんだが、思い切って担任のいないところでパートさんにやんわり話しかけてみると、なんと彼女は園に10年以上も勤めている大ベテランだった。保育の資格を取らないのかと訊いても、「取らなくてもいい」「(保育を)知らなくてもいい」という返事が苦笑いと共にかえってきた。
「昔に比べて随分(保育の)やり方が変わったんですよ。昔は『入っちゃダメ』って子供にきちんと注意してたんです」という彼女は、どうも、園の保育のやり方、担任のやり方に疑問を持っているようだ。その辺の事情はここでは詳しく書けないが、外部から来た私にも“特殊”に感じる時がある。担任に質問すれば、それなりのごもっともな言い分で返されてしまうが、おそらくはパートさんたちも「なんでぇ?」と感じているところが多々あるんだろう。つまりは、正職とパートがきちんと保育というもので合致していない、意思疎通ができていないことがここ数日間、私が見た保育のちぐはぐさの原因である気がする。10年選手のパートさんの保育能力がないなんてわけがなく、「え、ほんとにこれでいいの?」と思いながらも「はいはい、わかりましたよ」と“従う保育”、“受身のでしゃばらない保育”をしているから、傍から見たら、「なんだかなぁ」という残念な動きにしか見えないのだろう。ちょっと気の毒な話である。
で、今日も透明人間の観察者の私は「やばい!危ないな」と思ったが、女の子4人だけの保育で見切れないわけがないと思ったし、担任の視線を確認して、「ほら、今危ないんじゃないですか?」とアイコンタクト送るのも偉そうだから、あえて担任の目は見なかったのだが、見てるはずと思っていたら、見ていなかったらしく、子供が頭から落ちてしまった。
おバカな私は、いつもの気性の激しい子だったので「あえて、ちょっと痛い目に合わせて危ないことを知ってもらおうとしたのか?」とまで担任の意図を深読みしてしまった。恐ろしいことである。後で考えたら「んなわけねーだろが!」なのだが、そう勘違いさせてしまう絶対担任主導型の空気がある。パートさんも内心、入って欲しくない狭い場所に子供がわんさか入ってきて、それを担任に「そこに子供が入っているので注意して見てて下さい」と指示され、今日は「じゃ、ここから落ちてくるのを支えればいいんですね」と冗談めかして返していた。この皮肉をわかった私は苦笑いしてしまったが…。
で、今日になって上からの指示で、私は幼児の観察はせずに乳児、特に0歳児に戻って今度は観察ではなく、実際の保育に入るように言われた。せめても2歳児の観察まではさせてほしいと主任に頼んだが、今考えてみて、日数は少なくていいので、このまま幼児の観察までさせてほしいと頼み直そうと思う。乳児が育ちを重ねてどんなふうな幼児になって、やってきた保育が花開くのか見届けなくてはいけないんじゃないか。
それにしても、不安である。私は今度はパートではないし、資格もあり、少ないながら経験もあるわけだが、どういうスタンスでどういう感じで担任たちに接すればいいのか(と言ったところで新人なので平身低頭に変わりはないが)わからない。前にも書いたが、人数が足りているところを雇ってもらった身である。園の掲げる保育に馴染んでいかねばと思うのみだ。
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by zuzumiya | 2015-01-17 02:06 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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