梨を剥く

食卓の籠に傷んでてっぺんが黒くなりかけた梨を見つけて、剥かなくては思った。
二十を過ぎた子供が二人いても、梨やりんご、桃や柿のような果物は親の私が皮を剥かねば億劫がって絶対食べない。皿に盛って楊枝を刺して出せば、漫画や携帯に見入っていても、空いた手の指が器用に皿を探り当てる。流しで剥いた皮の後始末をして振り返った時には、皿の上には互いがひと切れだけ残したという体で、二切れが私の取り分として残っている。そんな光景を見て、そういえばそうだったよなぁと懐かしく微笑む。私だって育て親の祖母に甘えて、包丁が使える年になっても果物は祖母に剥いてもらって食べていた。なぜだろう。果物というのはどうしてもなくてはならないという食べ物ではなく、余分なもの、特別なもので、贅沢なものだからか。そういうものだからこそ、誰かの手から受け取りたいのだろうか。皮のなかにある甘くみずみずしい蜜の実だけをもらう、そのしあわせ。いつの日かこの我が儘でだらしない子供らも、大事な誰かにせっせと皮を剥いてやるのかと思うと、なぜだか可笑しくなる。
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by zuzumiya | 2014-09-06 16:11 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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