暮らしのまなざし

ZUZUとエリンと猫の夜(&追記)

a0158124_0112175.jpga0158124_011349.jpgときどき、実に女らしいというか、女のコらしい夜を過ごす。
たとえば、私の部屋は白と水色とベージュがメインなんだけど、そこへラベンダー色のカーテンなんかどうだろうとか、キルティングのベッドカバーが猫の爪で台無しになったから何かいいのに買い換えたいなとか、間接照明に素敵なものはないかなとか、インテリア雑誌のかわりにiPadを指でめくってネットをウロウロする。
それに飽きると、ZUZUこと安井かずみの昔のエッセイのページをめくり、彼女があんまりにも女として正直に可愛いらしいこと書いてるのを見つけて、ひとりニヤニヤする。

<いくら仕事のスケジュールが忙しい時でも、仕事はやっぱり仕事というように、私の心の、体の空間がどこか空いていて、その空間だけは男でしか埋められなくて、いくらおしゃれの極致を尽くしても、お金の山をみても(まあ、みなかったけれども)、いくら素敵で贅沢な旅をしても、仕事が日本一と評価されても、その代わりにはならなかったし、充足されなかったのは事実だったのです。> 
                             『たとえば好きたとえば嫌い 安井かずみアンソロジー』より

これは「ある女の表情」というエッセイからの引用だけど、あとがきによるとちょうど加藤和彦さんと結婚したアツアツの頃に書かれたものらしい。このエッセイの最後なんか、ほんとに幸せそうな微笑ましい一文で終えられていて、でも、実際、女の表情というのは彼女の言うとおりに作られると私も頷く。

<実に私は私ですけれど、でも最近、私の表情は私が作るのではなくて、彼と私の間のあいだに作られている気がしているのです……不思議です。つまり、自分の顔を作り上げるものが何かということが、少しわかってきたのではないかと思うのです。>

ZUZUってバリバリに仕事のできるハイセンスな自立した女だけじゃない。ある面では実に頼りなげな、「男が居てくれなきゃまるでダメなの」という、か弱くて可愛らしい女だったんだとクスッと笑ってしまう。ま、和彦さん命のZUZUだったもんなぁ。
本を読んでいると、猫のももが本の角っこに顔をすりすりしてきて、遊べって催促する。
数ページ読んでは中断して、ベッドの上で猫じゃらしで遊んでやる。その間、ネットや読書の時からずうっと部屋に流れているのは、ピンボケの赤い傘が可愛くてジャケ買いしたエリン・ボーディーの『リトル・ガーデン』。ノラ・ジョーンズが先頭切って走って道を作ったジャジー・ポップ、アコースティック・ポップの類の音楽。特にエリンの声やメロディはノラよりずっと女の子っぽくキュートで明るい。ほんとうは夜じゃなく、天気のいい昼間に窓を開けながら流すような音楽だけど、なんかこういう可愛らしい女の子らしい音楽をかけて夜を過ごすのも、女子大生や若い独身OLみたいな気分になって若返る。ベッドでペディキュアなんか塗ってみたりしたらもっとよかったのに。でも、そこは持ってないんです、ハイ(笑)。


※8月28日追記
安井かずみという人は、作詞にしろ著作にしろ、仕事をないがしろに軽く見ていたわけではないけれど、どこか学生のホームワークのようなその場その場の“やらねばならないしかたのないもの”として捉えていて、「ホームワークが済んだから、さっさと遊びに出かけましょう」的なノリのスタンスだったんじゃないかと思える。
想像だが、あくまで彼女にはもっと大きな人生の課題がずーっと心にあって、それが“異性とのパートナーシップ”、それに尽きるんじゃないかと私は感じている。そこが私が安井かずみを好ましいと思ういちばんの理由だ。私も人生の課題を抱えているから。
仕事は大事だけど、自分の全てじゃない、全てになんてなりえない。そういうところが男勝りのバリバリのキャリアウーマンであってキャリアウーマンでない、逆にそういうのは女性の幸福にとって損失でしかなく、実にもったいないこと、としか考えていないような、キャリアは積んでも自分のなかの女性性をとても尊んだ生き方を提示してみせた粋な人だったと思う。
女性誌を見ると仕事へのスタンスとして"バリキャリ”、“ゆるキャリ”なる言葉が出ているが、「肩肘張った“バリキャリ”は傍から見たら窮屈で、ぜんぜん優雅じゃないわよ」というZUZUの声が今にも聞こえてきそうで、あの当時、やっぱりZUZUは進歩的だったんだなと思える。と同時に現代は、恋愛なんて面倒くさいと感じる若者も多いので、今彼女が生きていたら「なんと、情けない、不幸なことか!」とため息をつくだろうなとも思う(笑)。
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by zuzumiya | 2014-08-27 00:18 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)
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