結婚したくなるCM

私も好きな写真集『もう、家に帰ろう』(田辺あゆみ・著、藤代冥砂・写真)の帯だったか宣伝文句かに「結婚したくなる写真集」とあった気がするが、うまく言ったものである。たしかにあの写真集を開けば、二人でいる日常が生み出す何気ないハピネスに世の中の女子は(なぜか、既婚女子でさえ)こぞって「結婚したいーッ!」と叫んだに違いない。
先日、テレビを見ていて、この写真集と同じ効果を生み出しているCMがあることに気がついた。

リリー・フランキーと深津絵里が夫婦役で演じている大和ハウスのCM。
「ここで、一緒に」シリーズとして始まって、「野党」篇と続き、今、3作目は「初雪」篇が流れているはず。大和ハウスのサイトへ行けばすべての作品が見られるので、まずは見てきて頂けると話が早いです(笑)。

この企画を考えたプランナーが果たして女性か男性かはわからないけれど、女心に(おそらくは男心にも)きゅんとくるさりげないセリフ回しが実に見事だと思う。役者の演じる姿や声が醸し出すぬくもりのような役者側のチカラだけじゃない。まず企画として、こういう言葉の掛け合いをさせたらいいよね、という企画者のセンスとチカラがあるわけで、そちらを私は何より評価したい。こういう夫婦がいて、この夫婦に何を言わせたらいいかというのはまずは紙の上、机の上でプランナーがたった一人で考え、判断するからだ。そこから全てが始まっていく。

さりげないと一言で書いてしまったが、秒数的にも最小限という制約がある言葉のなかで、その言葉以上の、そこに収まりきれないはみ出た夫婦それぞれの想いというか、時には見栄とか可愛らしい強がりだったり、試すようにちょっと意地悪してみたくなるその気持ちだったり、それとわかってサラリとかわしてみたり、すべてを知っていて相手を慕う本当のぬくもりだったりが言外に漂っていて、そういう男女の心の機微のさじ加減、“全部を言わせずして、全部とそれ以上を感じさせる”テクが見事で、天晴れだと思う。日常の自然な映像とセリフをうまくマッチングさせることで、微笑ましく可愛げのある夫婦像を作り上げているところもいい。

この夫婦のCMを見るたび、きゅんとして、なごんで、どこか微かにせつなくもなって…。
30秒ほどの僅かな時間が日常を立ち止まらせるチカラを持っている。何だかんだあるにしても独身女性には結婚へのさらなる憧れを、既婚女性には懐かしさや失ってはいけない大切な何かを思い出させてくれる。そんでもってみんな、あの深津絵里の、リリー・フランキーの、互いに交わす満面の笑みで、今一度誰かを想うときのやさしい気持ちを取り戻すのだ。
いいCMはCMであることを忘れさせるような、引き込むチカラを持っている。さらに余韻という影響力で日常をちょっと変えてみせる。大和ハウスのCM群(役所広司の出ているシリーズも好きだ!)の最近の頑張りようは実に素晴らしいと思う。
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by zuzumiya | 2014-02-15 16:25 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)
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