暮らしのまなざし

仕事があること、仕事をするということ

職場の老人ホームでのことです。昼食が終わって、あるおばあちゃまが同じテーブルについているお仲間に「あの人はあれでお金を貰ってるんだから」と喋っているのを偶然、耳にしました。彼女の目線の先にはお膳を下げる係が立ち働いていましたが、歯磨きを担当している私のことを言っていないともかぎりません。いったいどういう意味でそんなことを言ったのか、話の流れがわからないので真意はつかめませんが、認知症のさほど進んでいないしっかりした方だったので、痛烈な皮肉に聞こえて、心にちょっと引っかかりました。
食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、下の世話をしてもらったり…。よほど認知症が進んでいないかぎり、お年寄りというのは誰かの手を借り煩わせると、恥入って申し訳なくありがたく感じるようです。私もよくテーブルを拭いているだけで「ありがとうね」と感謝の言葉をかけられます。
反対に、介護士というのは毎度毎度の仕事の慣れから、どこかで世話を「してあげている」という気になりがちではないでしょうか。「世話をしてもらう」「してあげる」の関係は、立場の強弱を際立たせ、時々、される側の気持ちや尊厳というものを忘れさせてしまいます。孫ほど年の離れている若者にお年寄りが、悪気はなく親しみだとしても、あからさまな命令口調で指図されているのを耳にすると「なんとまぁ、横柄な」という気もします。
私自身もおばあちゃまに「おめめを開けて」と幼児語で話しかけてしまって、はたと気づくこともあります。
あのおばあちゃまの痛烈なひと言は、たとえば私なら食事の介助と歯磨きで、介護スタッフなら下のお世話や入浴などで(もちろん、その他いろんな仕事がありますが)、給料を貰っているんだ、だからごはんが食べられているんだとあらためて気づかせてくれる力がありました。仕事に慣れてきて、甘く見がちだったこの頃。反省を込めてそう思います。
仕事があること、そこで力を発揮できるチャンスがあること、そのことに感謝する気持ちを再び思い出させてくれました。
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by zuzumiya | 2013-08-08 00:11 | 日々のことづけ | Trackback | Comments(0)
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