暮らしのまなざし

こうして思い出は作られていく

夕食のあと「アイスが食べたい」という娘と近くのコンビニまで歩いた。
今は正確には彼氏ではない、でも男友達としてずっと続いている腐れ縁の男の子との話を聞きながら、涼しすぎてちょっと冷たい夜風をあびて住宅街を歩いた。
コンビニでそれぞれ予定外に雑誌も買って、お兄ちゃんには頼まれたコーラも買って、おんなじアイスキャンデーの封を切って、ペロペロなめながら帰った。
「考えてみると、あんたとは買い食いばかりしてる気がする」
「そうだね。でも、楽しいじゃん!」
「お母さんね、家を見て歩くの好きなんだ」
「あたしも!家の灯り見て、中を想像するの好き!」
なんだか、うきうきしてくる。
畑の脇は虫がいるからイヤと、娘が先頭をきって住宅街をくねくね歩いていく。
両脇の家々から、黄色い灯りが漏れている。
そんな普通の景色を見ながら、風に吹かれてアイスキャンディーをなめていると、
今がすごく自由で、しあわせだっていう気分になってくる。
「あ、もう溶けてきてる!」と娘。
「えっ!」
あわてて手元に近い部分をなめてみると、たしかに溶けてきている。
「ほんとだ、ひょえ~!」
笑いながら、少し足をはやめる娘。「あっ」を連発して、垂れてくるアイスと戦っている。
「手もズボンもベトベトになっちゃったよぅ~」
手をひらひらさせて笑って背を向けたその先に、マンションが見えてくる。
9階のお兄ちゃんの部屋の窓だけに灯りがぽつんとついている。
「ああ、今、あそこにお兄ちゃん、いるんだね」
「ゲームしてんでしょ」
ぽつんとついた窓の灯りが、思いのほか小さくて、
「あんなところに、みんなでなんだかんだ言って、暮らしているんだねぇ」
つぶやくと、なんだか妙に愛おしい気持ちになってきて、
この瞬間がものすごくせつなくなった。
前を行く娘の背中も、この夜の風も、
アイスキャンデーのミルクの味も、ぽつんとついたあの窓の灯りも、
みんなみんなきっと忘れない。そう思った。
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by zuzumiya | 2013-06-30 23:27 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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