暮らしのまなざし

「めぐり逢い」と「ぬくもりにふれて」~アンドレ・ギャニオン

a0158124_22473112.jpga0158124_22474045.jpgテレビを見ていて、はっとした。
樹木希林演じる老婆が死んで一本の樹になって、その周りに町ができるというトヨタの企業CM“TOYOTOWN”(トヨタウン)篇。その後ろに流れている優しいピアノのメロディー。アンドレ・ギャニオンの「めぐり逢い」だ。


アンドレ・ギャニオンといえばこの「めぐり逢い」が有名で、とても素敵な曲なのだけれど、私にとっては「ぬくもりにふれて」(アルバム「夢のほとり」に収録)が思い出深い大切な曲である。私の本がNHKのラジオ番組“私の本棚”で朗読された時に、ある回で流れた曲なのだ。
一冊の本を10日間にわたって、たしか15分か20分程度の分量に分けて、女優の斉藤由貴さんに朗読していただいた。そのなかでいちばんのお気に入りの回、ひょうきんな夫が“手とぎ男”というキャラクターに変身して子供たちとプロレスごっこに興じるくだりのあとに、ゆっくりと静かに流れてきた曲だった。あのギャニオン特有のちょっと物悲しくてやわらかなピアノのおかげで、“遠い日の家族の姿”“もう戻れない懐かしい過去”が聴く者の心をきゅうんとせつなく、そしてじんわりと温めてくれた。私の拙い文章だけでは望めなかった選曲のありがたい効果だった。
ギャニオンのCDは2枚持っているけれど、聞くと悲しくなるようなあまりにベタな哀調で、叙情的すぎて、ほんとうはそんなに好みではない。でもこの「めぐり逢い」と「ぬくもりにふれて」だけは、せつなさのなかにもそっと包み込んでくれる優しさと未来にひらけていくようなほの明るさがあって、ラジオ放送以降も家族や大切な思い出について書いたりする時にはBGMに流したりした。
たしか作家の夏石鈴子さんも執筆の際にはイヤフォンでちょっと物悲しい曲を聞くと仰っていた。彼女の『家内安全』という本の、あのせつなさと温もりを思い出す。
私は流す音楽で書く内容がすぐに影響されてしまうタチなので、なるべく静かで、空間に溶けていくような暗すぎず明るすぎずの中庸なピアノの曲を好んでかけている。日本語は耳が引っ張られるからダメ。最近は洋楽の英語もうるさくなってしまった。そうして同じようなピアノのCDばかりが増えていく。
でも、たしかに音楽の力で胸のなかの思いをすうっと汲み上げてもらって、言葉にするのを手助けしてもらっている感じがする。
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by zuzumiya | 2013-06-10 22:18 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)
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