ご飯の温かみと一緒に記憶されているもの

老人ホームで食事介助の仕事を始めています。
私の配属されたところは比較的痴呆が進んでいて、介助を要する方が多いところです。
ヘルパーの免許はなく、保育士の免許と乳児保育の経験しかありませんが、痴呆があって子供返りしているおばあちゃまのお世話なので、「○○ちゃん、大きなお口あけて」「あ~んして」と下の名前で呼んでは(ご家族の許可を得ているそうです)、手を握ったり話しかけたりして、笑顔で介助ができています。
老人福祉については知識がまるでないのですが、いろんな痴呆のタイプがあるようで、いつも何かに怒って文句をぶつぶつ言っている方、赤ちゃんの人形を大事そうに抱きしめている方、幼い頃に返って子供のように髪留めをして可愛らしく着飾っている方、食べることが大好きでいつまでもお茶碗を握りしめて舐めている方、ほんとうにいろいろです。
私がこれから向かう先は果たしてどのタイプなのだろうと考えてしまいます。
痴呆が進んでいる方でも、私が雑巾でテーブルを拭こうと近づくと、「すみませんね」「ありがとうございます」と丁寧に頭を下げて感謝の言葉をかけてくれるのには驚きました。それから、ほとんど目も開いていないような姿で、ただただ何かを口の中でぶつぶつとつぶやいているおばあちゃまが、口の端からこぼれた分をエプロン越しの指先で、まるでナプキンでのマナーのように口元をそっと拭った仕草を見かけたときには、この方の若かりし頃の品の良さ、育ちの良さが伺い知れて、人間って、そういうものかと静かに感動しました。
あるとき、食事中に「おかあさ~ん!」と叫んだおばあちゃまがいて、思わず胸にぐっと来ました。スプーンで「あ~ん」と促されて口を開き、温かな粥がのどを伝わって腑に落ちていくその満足に、思わず、つぶった目の中に母親の顔が浮かんできたのでしょう。
ご飯の温かみと一緒に記憶されている母親というもの。勤めている女性職員の多くは家族持ちの主婦ですから、みな心の中に何とも言えないせつなくて温かなものが満ちてきたのじゃないかと思います。
赤ちゃん人形を抱きしめ、愛おしそうに頬ずりしているおばあちゃまも見ていて微笑ましいです。人形は自分の子供なのか、それとも自分が子供になって人形として宝物なのかわかりません。でも、母親としてでも、少女としてでも、女性というものはいくつになっても、たとえ痴呆となっても、育み守る性なのだ、それで安らぐものなのだということが微笑ましいのです。
これから、まだまだいろんなことが見えてきて、いろんなことに気がついていくでしょう。
痴呆のお年寄りだからこそ、教えられることがきっとたくさんありそうです。
仕事と仕事の合間に家事もして、予想通りまた時間に追われています。でも、一緒に入った仕事仲間とメールで互いに励まし合っているので、なんとかやれそうです。
頑張ります。

お正月の休みからたくさんの映画を見ています。
『サンサジの樹の下で』は今さっき見て泣いてました。園子温監督の『冷たい熱帯魚』はものすごく怖かった。『アジョシ』はカッコよかったし、いいお話でもありました。最近、韓国映画の出来の良さにはビックリしています。他にも『アンノウン』や『ロシアン・ルーレット』『ストーカー』韓国版『黒い家』『スマグラー』『ゴーストライター』『チェイサー』『バトルシップ』などなど、いろいろ見てますが、感想は昔のようにいちいち書けなくなってしまいましたが、備忘録として書いておきます。すみません。
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by zuzumiya | 2013-01-10 16:46 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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