もも、ありがとう。

悲しくてつらい夜でした。
これから先の不安と孤独にひとりで潰されそうな夜でした。
真っ暗な闇のなかで、いつしか涙があふれていました。
ももは「寒いからおいで」と誘っても布団の中へ入ってくることはない猫です。
その夜に限って、私が鼻をすすりながら布団口を上げるとそろりそろりと中に入ってきました。ちょうど私の脇腹にもたれかかっているももの体から「グルルル、グルルル」と機嫌のいい声とともにむずがゆいような振動が伝わってきます。
暗闇で意識を集中させると、その振動は私の脇腹の骨を伝わって、心の奥に開いた空洞の大きさを知らせてくれているようでした。
赤ん坊が母親に背中をやさしく叩かれて寝つくように、ももは今全身で私を慰めている、そう思った瞬間、ぐわっと涙がまたあふれてきました。
「すべての猫族に、ごめんね。そして、ありがとう」
心のなかでつぶやきながら、込み上げてくる涙にまかせて静かに泣きました。
しばらくすると、ももはやっぱり布団から這い出て、枕の端に伏せました。
私のおでこにかすかに小さな吐息がかかる距離です。涙でびっしょり濡れている頬をひげの先で確かめるように触れてきます。暗闇のなかでも瞳がまだ開いているのがわかりました。
今夜はそこに居て、私が眠りにつくのを見届けてくれるつもりなんだと感じました。
「仔猫なのに、私、飼い主なのに、ごめんね」とももの影に向かって心で伝えて、誰にも甘えられない私はももだけに甘えることにしました。
ももが私にしてくれたこの夜のことは、この先もずうっと憶えておこうと思います。
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by zuzumiya | 2012-12-02 19:23 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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