物静かな葉書

文房具売り場にはクリスマスカードと共に来年の賀状が並んでいる。
日本人らしく、賀状の方に目が行って、「ああ、来年は辰年か。すると今年は兎だったか」と忘れていた干支を思い出し、そして巡る年の速さに少し驚く。
家へ帰ってポストを開けると、これまたクリスマス用のチキンやピザや食べ物屋の派手なチラシにまじって、ひっそりと喪中の葉書が届いている。
「○月○日、父○○が○歳で永眠いたしました。
喪中につき、お年賀の礼差し控えさせていただきます」
葉書の主は夫の友人で、私は顔も知らないが、律儀な夫が毎年の賀状のやりとりだけは続けている人だった。そうか、お父様が亡くなられたのか、と思う。
エレベーターの蛍光灯の白で色味のない喪中葉書は水の手紙のように透き通る。
それがなぜか今日は心をしんとさせる。
この一年、自分のことで精一杯で、忙しい忙しいと嘆きながらも、病気や事故もなく、仕事を満喫していた。夫も同じだった。
そんななか、この葉書の主は肉親を失って、家族とともに悲しみにくれていた。そのいちばん辛い時はこちらには何も知らせずに、ひっそりと内々だけで悲しみをやり過ごしていた。ポストに入っている喪中葉書は、そういうものが多いように思う。
受けとるたびに、その家族にあったたしかな悲しみのことを、ふと思う。
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by zuzumiya | 2011-12-13 20:06 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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