占いで気持ち下げてどうすんの?

先日、職場に行ったら掃除のおばさん(といっても、私より二つ三つぐらい上にすぎないと思う)が私の顔を見るなり話しかけてきた。うちの館の掃除の仕事の前に、睡眠時間を削ってもうひとつ仕事をしているんだけれど、そっちが契約が終わったらいきなり解雇されたという。おばちゃんが会社側と話してみると、実は前任者に事情があって休みの間だけ穴埋め的に彼女が雇われていたことが判明した。「長いことできるような口ぶりだったのに、ずるいよねえ」と、いつもは物静かな彼女がちょっと声を荒げていた。そのあと、彼女は「今年は大殺界の最後の年だったんだけど、やっぱりいい事何一つなかったなあ」とつぶやいた。大殺界といえば細木数子さんの占いである。「やっぱり、そういうのって当たるの?」と聞くと、「うん、もちろん! ものすごい当たってるのよ」と悪い事なのに急に目を輝かす。大殺界…。この恐ろしい字面からいっても、最低最悪の運気の時なんだろう。でも、私が「うちだってもう何年も何年も何年も人生しゃがみっぱなしだよ。今じゃ足が痛くて立てないくらいだもん」と笑わせてから、「がんばってるじゃない? 人のためにいつもこんなにきれいに掃除してくれてるんだもん。これからも誠心誠意お掃除していれば、きっと悪い気も清められて、またいい運がまわってくるよ。大丈夫だよ」と言った。でも彼女は「だめなのよ、大殺界のときっていうのは、へんに悪い運気を吹き飛ばそうとしてもがくと逆にダメなんだって。大人しく受け入れておくのがいちばんなんだって」とこれまた強く反論してきた。これを聞いて「なんたることか!」と悲しい気持ちになった。占いも困りものだ。マイナスなイメージをこんなにも頑に信じ込ませて、人のモチベーションを下げてしまうなんて、罪なことじゃないか。
占いなんて、いいことだけ信じて悪いことは忘れてしまうに限る。占いを見たくなるのは迷いながらも「前へ行きたい」その気持ちの強さの現れなんだから、背中を押してくれる手であってほしい。おばちゃんだって、ほんとうは大殺界だとか言っていても、毎日暮らしていくなかでささやかな愉しみが生まれたり、「こうしたいなあ」なんていう希望が生まれているはずなのだ。ならば、「消せやしないだろう、胸の奥の希望は」と歌ってくれる人の方がずっと正直で親切だ。(←エレカシオチですまん)
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by zuzumiya | 2011-12-13 11:19 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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