『庭の小径で』

a0158124_15574990.jpg先日、児童本の情報収集に出かけた本屋さんで、素敵な絵本を見つけました。といっても、児童向きではなく完全に大人向きの絵本。
『庭の小径で』(絵・ロウラ・ストダート/文・きたむらさとし)という単行本サイズの小さな絵本。内容は物語ではなく、詩画集か、はたまた、美しい挿絵の詩集といった気品ある佇まいの本なのです。たとえば、最初のページにはこんなふうに書かれてあります。


        


        だれでも、こころのなかに
        一冊の本をもっている。
        人生それぞれの
        物語が書かれた本を。

        だれでも
        ひとつの庭をもっている。
        記憶のおくの片隅に。
        楽園のひとかけらのような
        ちいさな庭をもっている。


まずこの数行の詩にいっぺんに心が奪われました。
これだけの詩とぱらぱらと捲って見たロウラの清楚なイラストで、この本を買う事を即決しました。私はもともと詩人の長田弘さんのファンなのですが、きたむらさとしさんが描く静謐さやユーモアは彼と少し似ている気がします。
たとえば、

        樹をみあげるヒトの姿は
        それ自体が、一本の樹のようだ。

        空と大地をしっかりつなぐ
        樹々はいかにもたのもしい。

        ヒトはたちどまり、敬して仰ぐ。
        そんなとき、ヒトも少しだけ
        樹になる。

あるいは、

        人は、疲れた心をいやすために
        庭仕事に専念する。

        心はなごむが、腰が痛む。

といった具合に…。

おそらく誰でもがこの絵本のなかにいくつかの好みの詩を見つけることでしょう。
そしてその詩の世界の好もしさはロウラの控えめで美しい細密な絵が支えているのです。
私の最近のヒットです。静かな雨の日の読書におすすめです。
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by zuzumiya | 2011-05-29 16:04 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)
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