暮らしのまなざし

情報だけどやさしい言葉

「今日は一日中よく晴れて、お洗濯日和です」とか「お布団を干したり、お洗濯には最適なお天気です」とか、いつの頃からか、テレビの天気予報でこんな家事コメントを添えてくれるようになりました。日頃、聞き慣れてしまって、ありがたみを感じる人は少ないでしょうが、よくよく考えてみると「お洗濯日和」とか「お布団が干せます」という言葉はなかなか味があっていいなあと思います。
別に「今日も一日よく晴れるでしょう」とか「降水確率は0%です」だけでも情報は伝わるのに、すべての人が家事をする主婦ではないのに、そういうなくてもいいのだけれどあると親切な話を添えてくれるやさしさ、「天気がいい=洗濯、布団干し」になる健やかさ、さらりとした生活感、ささいなことのようだけど、このコメントはちゃんと持っています。そして、こういうコメントをさりげなく言うことは、実はすごく誉めてもいいことじゃないかと私は思います。「快晴」という無味乾燥な情報に人の五感を揺さぶる何かをプラスして送り出していく。天気予報のあのコメントは人の気持ちを豊かにしていると思うのです。特に天気予報のかわいいお姉さんに笑顔で「お布団が干せますよ」と言われると、何だかほんとうに布団が陽射しを吸ってふかふかに膨らむさまが見えてきて、朝からちょっとした幸福感を覚えます。
何気ない言葉が人を幸福にする。そういうことは意外とあります。たとえば、この間、鉢花を買いました。花の名前は「ヒベルティア」。つげのようなこんもりした緑に黄色い小花をつけた、つつましやかな花です。家に帰って、ベランダで鉢花についてきた「お手入れ方法」の札を読みました。

「日光を好みます。水やりは鉢土の表面が乾いてきたら、たっぷりと与えてください」

瞬間、胸の中にぽわっと灯りがついたような気がしました。そこはかとなく、気持ちが明るくなってきて、なぜか何度も声を出して読み返しました。
この「日光を好みます」「たっぷりと与えてください」そんな言葉に、自然と口元がゆるんできて、なんだか今日という日がいい日だなあとしみじみ思えてきたのです。
何ということもない、一般的な植物の育て方の情報です。なのに、健康的な幸福感に満ちています。読むだけでちょっと大らかな、伸びやかな気持ちになりませんか。
きっとまだ私たちのまわりには、そういう「情報然とした、でもほんとはやさしい生きた言葉たち」がいっぱいあるのでしょう。気がつかないだけなのです。

※これもずいぶん前に書いた文章ですが、最近では「元気出していきましょう」という某製薬会社のスローガンや「仕事は前向きに」の缶コーヒーのCMのコピーに妙に励まされたりしています。CMのような繰り返しの多いメディアにはちゃんとしたよい言葉を乗せて送ると響きますね。
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by zuzumiya | 2010-09-02 19:13 | 日々のいろいろ | Trackback | Comments(0)
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