「ばか正直」の「ばか」の愛情

久しぶりに山之口獏、通称「獏さん」の詩集を手に取りました。本には<底抜けに貧乏だが、底抜けに明るく、誰にも書けないふしぎな魅力の詩を書いた>とあります。私は獏さんの詩を読むと連鎖的に「このようになまけていても人生にもっとも近く詩を書いている」と詠った貧乏歌人の山崎方代、通称「方代さん」の短歌も読みたくなります。この獏さん、方代さんの二人の素朴な言葉は、読むたびにどこか懐かしく、人恋しい気分にさせられます。ふと、人が「ばか正直なんだよ、あいつは」と笑う時の「ばか」に込められたひねた愛情のことが浮かびました。相手の不器用さに怒りを覚えつつも、同時にそれがその人のよさであって、損な役回りに同情もし、でもどこかで「それでいい」と人間性に安堵している、そんな愛情を感じるのです。人間のあわれとおかしみが「ばか正直」の「ばか」にはこもっている気がします。獏さん、方代さんの世界に通じているのでしょう。

(今からできること)
※小学館から出ている『永遠の詩03 山之口獏』は詩人の井川博年さんが選と鑑賞解説 をしてくれています。文藝春秋から出ている山崎方代歌集『こんなもんじゃ』は「私  の一首」として、東海林さだおさんや谷川俊太郎さんらが方代の歌を選んで鑑賞してい ます。どちらもおすすめ。
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by zuzumiya | 2010-07-24 20:31 | 日々のことづけ | Trackback | Comments(0)
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