暮らしのまなざし

「The Fall 落下の王国」 万華鏡のような映像美

a0158124_2195552.jpg映画を見ながら、ひさびさにきゃあきゃあ騒いでしまい、一緒に見ていた夫に「うるさい、台詞が入ってこなかった」と一時停止、戻りボタンを何度も押させてしまった。
「The Fall 落下の王国」は、噂以上の素晴らしい映像美だった。監督はインド出身のターセム・シン。
調べてみると「ザ・セル」につぐ長編まだ2作目で、彼はもともとCMディレクターだったり、MTVの映像を作っていたらしい。第40回シッチェス・カタロニア国際映画祭でグランプリ(最優秀作品賞)、第38回カンヌ国際映画祭で芸術貢献賞を受賞しているそう(「芸術貢献賞」なんてぴったりな感じだ)。
衣装は日本の誇る石岡瑛子(アカデミーの衣装デザイン賞も獲っているほどの人)。
凄いのは13の世界遺産、24ヶ国以上でロケーション撮影されたということ。たしかに遺跡に宮殿に、砂漠、草原、湖、美しい珊瑚礁の海と凄かった。

ストーリーはたいしたことないが、もう最初の白黒場面からワンカットワンカットがびしっと美しい。写真集を捲っているかのように緻密に構図が計算されてる。
それから登場人物、すなわち6人の戦士がいい。石岡さんの衣装がまず素晴らしい。
個人的にはダーウィンの衣装、あの赤い派手な甲虫の柄のような毛皮、その下には「時計じかけのオレンジ」めいた白いシャツ。エジプトの壁画のような奴隷の黒人の角の被り物。6人並んだときの色合いのよさ。途中で出てくるお姫様のアジアンな蓮の精を思わせる衣装。特に仮面の戦士との結婚式のドレスの顔の前のジャラジャラ、それから結婚式の白いドレスのまわる舞踏の映像美。
階段がエッシャーの絵のようにやたらにある宮殿に黒の兵隊達が蟻のように群がって上って行くシーン。海の中を象が泳ぐ水中シーン(どうしてこんなこと考えつく? インド人だから?)。途中にちょこっと入る人形アニメーション。その前だったか後だったか、アレキサンドリアが棚から落ちて、片足を壊すイメージシーンのアンティークな西洋写真を思わせるテンポよい絵の数々。火事になる場面の火の赤さの美しさ。旗に血を染み上がらせるアイデア。小物の使い方も素晴らしい。おじいさんの入れ歯とかダーウィンのペットの猿とか、アレクサンドリアの持っている大事な木箱の中身の写真とか穴の開いた手紙とか。

昔、見ていてゾクゾクしたCMにサントリーのウィスキーの「ランボー、あんな男、ちょっといない」があったが(マーラー編の風神雷神のアニメも洒落ていた)、砂漠を歩いて行くランボーや大道芸人の火吹き男の、ああいう幻想的かつ退廃的美しさを思い出した(すみません、私自身がCM出身者なもので)。美しさのなかに退廃が滲まないと、びびっと来ないのです、わたしは。
とにかく、高校のときに初めてみたフェリーニの「カサノバ」を見たときと同じ興奮がよみがえってきた(なんというか、私好みの「芸術的に作り込んだ仕掛けの素晴らしい映像美を見た!」という感じが、当時を思い出させるのである)。
レンタルだったが、これはひさびさの「買い」のDVDではないかと思う。
持っておいて、なんども繰り返し再生し、誰かと「ここが圧巻」「ここが綺麗」「ここが大好き」と一時停止して、万華鏡のような映像美を褒めちぎりたくなる映画だ。
「アバター」とは違った意味で「人間の想像力って、すごいなあ」「CG技術があってくれてよかったなあ」と心から思えるのである。
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by zuzumiya | 2010-05-08 02:33 | わたしのお気に入り | Trackback | Comments(0)
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