哀しみの先にあるもの

テレビでバッハの「マタイ受難曲」を少し聞く機会がありました。人間には喜怒哀楽の感情があることがとても幸福に思えます。そして、中でも特に哀しみの感情が実は人間の人間たる情感を最も強く深く育んできたのではないかと思えました。哀しみをなければいいものとして忌み嫌うけれど、こういう美しい宗教音楽を聞くと、実は古の昔から哀しみこそ、最も人間が執着して手放さず、時には溺愛さえしてきた感情ではないかと思えるのです。叙情という言葉にはどこか拭いきれない切なさがあります。人間の生と死のように、出会いと別れのように、一方が光り輝くほどにもう一方の存在も強まってしまう切なさの中に生きて、無常ゆえに永遠を乞い願ってしまう。その悩ましさ痛ましさが宗教や芸術に託され、特に芸術には叙情の美を与えてきたのでしょう。哀しみをただ怖れてはいけない。哀しみこそ、何か美しいものを心に生み出す種になるような、そんな思いがします。

※いろんな芸術作品に触れましょう。音楽でも絵画でも美しさを支えているもののなかに憂いや苦悩、哀しみのような一抹の陰りがあって作品を深いものにしていることがわかります。喜怒哀楽、どの一つも要らない余計な感情などないのだと、人間らしい豊かさに立ち帰って、あたたかな気持ちになります。
※哀しみがたとえ負の感情であっても、負のままで何も生み出さずに終わることはないのだと信じましょう。
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by zuzumiya | 2010-04-18 16:14 | 日々のことづけ | Trackback | Comments(0)
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